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センター長挨拶



明治大学 文学部 専任教授
センター長 石川 日出志

就任のご挨拶

2019年度から明治大学黒耀石研究センター長に就任した石川日出志(文学部・教授)です。現在の主たる研究対象は弥生時代と同時期の東アジア世界ですが、縄文・弥生時代の石器群についても探索を続けています。かつて、当センターが設置される契機となった学術フロンティア推進事業「石器時代における黒耀石採掘鉱山の研究」(2000~2004年度:代表安蒜政雄)の構成員でしたので、久しぶりに黒曜石研究と相まみえることになります。
センター本部のある長野県長和町は、日本有数の黒曜石原産地群の一角にあり,旧石器・縄文時代の人類が石器石材を求めて活動した足跡が濃密に残されています。明治大学では,地元岡谷市出身の故・戸沢充則氏(元学長)が主導して八ヶ岳周辺における人類史研究を継続し、それが当センター設立へと繋がりました。1950年代初めの諏訪市茶臼山遺跡の調査に始まり、1980年代初めには南牧村矢出川遺跡群の考古学・古環境学等による総合調査を経て鷹山地区の遺跡群の調査・研究へと継承されました。そして現在は、「ヒト-資源環境系研究」として、人類が黒曜石を含む多様な資源を利・活用して生活を組み上げるダイナミズムに関する研究を推進しています。
私は、考古学・歴史学・文学・民族学・民俗学の協同による国際日本古代学研究クラスターの代表も務めていますが、現在のプロジェクト系研究はいずれも学際性と国際性の実質化が求められています。しかしそれ以上に黒耀石研究センターは、学際性と国際性および地域連携の点で明治大学の各種研究プロジェクト群を先導する役割を担っています。
文学部専任教員と研究・知財戦略機構特任教員のほかに、センター員と客員研究員を配置して総合研究を進めていますが、何よりも、地元長和町の各種のご支援を頂いて初めて成り立っていることも強調しなければなりません。また、周辺の市町村との連携も重ねる必要があります。さらに、研究成果を広く社会還元することが求められています。こうした循環があって初めてセンターの活動の活性化が実現すると思います。ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

写真: 中国社会科学院考古研究所にて
    (銅像は初代所長夏鼐Xia Nai先生)