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黒曜石原産地推定の概要と結果

▲蛍光X線分析装置JSX3100Ⅱによる黒曜石の測定状況

 先史時代の人々の活動を追及するための分析方法である、石材の原産地推定研究において、黒曜石は特別な位置を占めています。それは黒曜石が火山の噴出物として生成され結晶構造をもたないために元素組成が安定しており、さらに国内に存在する80数カ所の原産地ごとの化学組成がすべて異なっているからです。
 黒耀石研究センターでは、装置の操作や測定の前処理が容易である点や、資料を非破壊で短時間に測定できる利点を重視して、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(JEOL社製JSX3100Ⅱ)を用いて原産地推定を行っています。その方法は1994年に望月明彦と池谷信之が提唱したRb分率{Rb強度×100/(A=Rb強度+Sr強度+Y強度+Zr強度)}、Sr分率(Sr強度×100/A)、Mn強度×100/Fe強度、Log(Fe強度/K強度)の4つの指標を用いた判別図にもとづくものです。ただしこの方法は測定値が個別の分析機器に依存するという問題を抱えているため、黒曜石原石(パーライト・ピッチストーンも含む)を日本各地から採取し、記載岩石学,岩石化学的検討に基づく検証をおこなっています。
 これまでの分析事例は,北海道白滝服部台遺跡(旧石器),同県置戸安住遺跡(旧石器),青森県三内丸山遺跡(縄文)、同県亀ヶ岡遺跡(縄文)、群馬県岩宿遺跡(旧石器)東京都武蔵台遺跡(旧石器)、山梨県釈迦堂遺跡(縄文)、長野県男女倉遺跡群(縄文)、福井県鳥浜貝塚(縄文)、広島県帝釈観音堂洞窟遺跡(縄文)、佐賀県鈴桶遺跡(縄文)、鹿児島県上場遺跡(旧石器~縄文)、同県水迫遺跡(旧石器~弥生)など、 2020年度末までに日本全国の500遺跡以上、45000点以上に及んでいます。以下に近年の分析実績と掲載文献を示しました。
 
   
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