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研究科長あいさつ

研究科長あいさつ

法学研究科長 博士(法学) 鈴 木  賢



 明治大学における法学教育は、1881年(明治14年)に設立された明治法律学校にその源流を発しています。爾来、本学は私学における法曹養成の揺籃として、多くの実務法曹を輩出するだけでなく、日本社会の発展に寄与する数多の有意な人材を送り続けてきました。とくに2024年に放映されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」で主人公のモデルとなった三淵嘉子をはじめ、1940年に日本で初の女性法曹3名(三淵のほか、中田正子、久米愛)が、本学から巣立ったことはよく知られています。三淵は女性初の弁護士を経て、判事、そして家裁所長まで上りつめ、中田は女性初の弁護士会長(鳥取県)を務めました。
 法学研究科は、そうした明治の法学教育の伝統を引き継ぎ、1952年に新制の大学院として設置されました。本研究科ではこれまでおもに法学研究者を育成し、今日まで多くの卒業生が、法学の各分野の大学専任教員として活躍しています。その活躍の舞台は日本国内に止まらず、台湾、韓国など、外国の大学で法学者となった者も少なくありません。
 本研究科には現在、法学研究者養成コースと高度職業人養成コースが設置されています。法学研究者養成コースでは、高度な法的専門知識と幅広い教養を備え、研究活動を自立して遂行することのできる能力を備えた人材の育成を教育目標としています。したがって、修士課程(博士前期)修了後は、多くの場合、博士後期課程へ進学し、課程博士の取得を目指すことになります。他方、高度職業人養成コースは、法学に関する高度な専門知識を有する公務員、教員そして民間企業の法務分野の担当者などの職業人の養成を目的としており、同課程修了後は各自のキャリア設計に沿って実務に携わることが想定されています。
 大学院への進学を考えているあなたには、大学院での勉学が学部までのそれとは質的に違うものであることを銘記していただきたいと思います。学部まではもっぱら先人が長年にわたり蓄積してきた知を体系的に習得し、身につける「学習」の段階でした。しかし、大学院ではそうした学習を続けるとともに、最終的にはこれまでの知に新たな知見を積み上げること、すなわちオリジナルな発見ないし着想を付け加えることが求められます。修士論文(ないしリサーチ・ペーパー)や博士論文では、これまで世界中で誰も書いたことのない独創的な論述をする(=言語化する)ことが必要となります。それこそが大学院での「研究」の名に値する知的作業に他なりません。
 明治大学法学研究科では伝統ある実定法の各分野をはじめ、情報法、環境法、知的財産法、経済法などの先端分野、法哲学、法制史、法社会学、比較法、外国法などの基礎法学分野を広くカバーする教員スタッフを揃えています。所属教員の専門分野の幅広さ、層の厚さにおいて本研究科は、日本の法学研究科でも指折りのレベルを誇ると言えるでしょう。最先端の研究をしている教員たちは、みなさんが新たな知的貢献ができる人材に育つよう伴走する頼りになる先輩であり、コーチなのです。
 ここ千代田区神田駿河台の地で脈々と襷(たすき)を繋いできた明治という伝統ある法学研究のコミュニティ。あなたもその一員に加わり、スリリングな学問の世界にどっぷりと浸かってみませんか。この地から新たな知を私たちと一緒に創造していきましょう。明治大学法学研究科は、日本全国、そして世界各国から、多様なバックグラウンドをもった意欲的な皆さんの加入をお待ちしています。
明治大学大学院