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学長室

第17回生明祭開催にあたって 「遊びをせんとや生まれけむ」

2017年11月24日
明治大学 学長室

日本の中世歌謡に、「遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ。」という作品があります。「遊びをしようと生まれてきた。戯れようと生まれてきた。遊ぶ子供の声を聞くと、自然に我が身も動いてしまう。」という意味です。第17回生明祭のテーマは「君に問いたい、遊びたい?」と聞いています。

どんな年齢になっても、子供の遊ぶ姿を見れば、心が踊ります。そこにはリズムがあり、決まりきった世界から外れて、予期しないことが現れるからです。子ども自身がそのリズムに驚き、予期しない世界の現れに戸惑い驚く、「遊ぶ」とはそうした予期しない偶然との戯れです。また、科学の世界には、偶然がつきものであり、予期しない出来事が新たな発見へとつながるのです。

そう思えば、この世界の出来事は全て「遊び」と関わっていると言えます。たとえば樽を作る職人は、ぴったりと木を組み立てることはしません。水を入れて木が膨張することを計算した「遊び」を木の間に作ります。人間もこの「遊び」がないと、心身ともに余裕のない組み立てになってしまいます。

科学の世界や生命の世界にどんな「遊び」があるかを、「生明祭」で感じ取ってください。「学び」は、教室の中だけではありません。大学のあらゆる場所が「学び」の場所であり、「遊び」の場所も「学び」の場所なのです。「学びの共同体」ラーニング・コモンズという発想を、明治大学は掲げています。それは、偶然と遊びによって発見されるこの世界の豊かさを、大学の中に生み出すためです。

大学祭はまさに「学び」と「遊び」のコラボレーションの場です。この「生明祭」でその光景を目の当たりにすることでしょう。ぜひ、たくさん楽しんでください。