地球を情報ネットワークがつつみこみ、人類は歴史上初めて、人類全体を同時代人として認識できる場所に立ったといえます。人類の未来への期待も不安も共有することができます。そうした「類的存在」として人間が生きる時代に私たちはいるのです。この「類的存在」という19世紀の人間像が、復権しているのです。
大学のミッションは、この人類の課題を共有する時代にふさわしいものでなければなりません。人類が共有する課題にたいして、何をすることができるのかが常に問われています。この共有する課題は、これまでも科学者共同体の課題として問われてきました。そしてこれからは、学生の皆さんも、人類の課題を自ら解決するための行動力と柔軟な発想力が問われてくるのです。この力を涵養するためにも、大学教育はただ単に個人の能力を高めるためにあるのではなく、人類の課題への問いかけを共に考え、解決を共に創り出していく「共創力」に向かっていきます。
明治大学は、「権利自由・独立自治」を建学の精神としています。本学がこの建学の精神で謳う「権利自由・独立自治」は、現在の人類にとっての課題であることは明白であり、未到の課題でもあります。戦争やテロによって、人間の権利も自由も侵害されています。貧困の問題も解決されていません。人類にとってまだまだ多くの課題が目の前にあります。学問の力によって、人類を前進させることができるのか。人類を前進させる技術を前へ押し進めるためには何が必要なのか。大学として常に問い続けなければなりません。
明治大学はこの人類を前進させる大学として、これからも前へ進んでいきます。
学 長 土屋 恵一郎