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「信頼のうえに、に自らの人生を!」  

明治大学で学び、本日ここに、めでたく卒業式を迎えた皆さんに対し、明治大学を代表して心から「おめでとう」と申し上げます。
 
皆さんが卒業の日を迎え、そして人生の新しい旅立ちに際し、改めて、ご両親やご家族に対し感謝の意を表するとともに、これからの人生にむけて自らの「高き理想」を確認し、決意を固めてほしいと願っています。

  さて、人類は、いま厳しい局面に直面しています。それは、いわゆる「近代化」への施策を支えてきた諸制度や価値観の質的転換にともなう、「現代の苦悩する姿」ともみることができると思います。
 18世紀末の産業革命に端を発する、この「近代化」の歩みは、20世紀には「科学技術の革新」を旗印に、すべての分野で「合理性」や「効率性」を求めてきました。確かに、このことで人類は経済的な豊かさを得ました。しかし、この歩みの中で、いつしか人類にとって一番大切な「人間らしく生きる」ことが忘れられようとしています。
  また、1989年のベルリンの壁の崩壊、そして1991年のソ連崩壊などを経て、第二次世界大戦後に形成された「米ソの冷戦」体制が終焉をむかえましたが、その後、「アメリカのいわゆる一極体制」のなかで、国際社会の在り方(秩序)が先行き不透明のまま近時、イスラム原理主義者の台頭が顕著になってきました。
  このような歴史的な動向の中で、この地球上ではグローバル化が一段とすすみ、宗教や民族間の対立による局地的な武力紛争、テロの恐怖などが今なお多発しています。さらに地球温暖化などにみられる「環境破壊」も、一段と加速しながら深刻化しています。しかし、これらは、武力や財力では解決できません。他者に対しての「思いやり」の心により支えられる相互「信頼」を醸成することによってのみ、真の解決がえられると思います。
  私たち日本人は、人類史上はじめてで、かつ唯一の原爆被害を体験している国民ですから、世界の「平和」を最高の理念として据えその実現にむけて献身的な活動を展開する責務があると考えます。また、地球上の「環境の保全」問題についても、今や日本は経済大国になっているのですから、この問題を解決するための活動を積極的に展開する責務があると考えます。

  ところで、2007年の年末には、残念なことですが、わが国の世相を表わす「今年の漢字」では、「偽」が登場しました。ここ数年、確かに人びとの信頼を裏切る「偽装」事件が、建築や食品など、人の生命に直結する数多くの分野で多発していました。企業の社会的責任が問われています。その言い訳は、多種多様でしたが、今は「お金がすべて」の世ではありません。
 いずれにせよ、人は他者との関係で「協働、共存」していることを忘れていると思います。自らの人生を豊かにするためにも、「個」の利益を追求するだけではなく、他者と「共生」していくことの大切さを心に留め、相互に信頼し合える社会を築いていかなければなりません。 このことは、国際社会の在り方においても、同様です。

これから皆さんが世界を舞台に活躍するにあたり、個人については勿論、各国の諸社会制度についても、単に「適者生存」の原理をもちだして論評するのではなく、実質的な平等の視点から、しかも人びとが「人間らしく生きる」ことの大切さに留意して、自らの使命を全うしてほしいと願っています。さらに付け加えさせていただくならば、この明治大学で培った人間力、すなわち明治魂を発揮して、いかなる難局に遭遇しても逃げることなく「前へ」歩み、「正義の鐘」を打ち鳴らしていただきたいと願っています。

最後になりましたが、皆さんの前途に幸多いことを祈念申し上げまして、私の告辞といたします。

学長  納谷
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