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法学部

法学部2年・高橋千穂さんが「第62回末川杯争奪法律討論会」で立論の部・第2位,同質問の部で第4位

2013年11月11日
明治大学

 10月19日に立命館大学において開催された「第62回末川杯争奪法律討論会」において,本学法学部法律学科2年の高橋千穂さんが,立論の部において第2位に,質問の部においても第4位に輝きました。
 高橋さんは学内で開催された学内予選を勝ち抜き,本学代表として大会に出場しました。

 同大会は,毎年京都の立命館大学衣笠キャンパスにおいて開催されており,今年度で62回を数える歴史のある大会です。大会名にもあるように,立命館大学名誉総長の故・末川博先生の功績を讃える大会でもあります。
 
 今年度は,全国から関西大学,関西学院大学,京都大学,慶應義塾大学,神戸学院大学,中央大学,同志社大学,明治大学,立命館大学の実力校が参加し,熱い討論が交わされました。

~今回の問題は以下のとおり~
 第62回末川杯争奪法律討論会問題  分野【憲法】

ほぼ半世紀にわたり日本国内に居住している外国人Aの子Bは,「出生により外国の国籍を取得した日本国民」(国籍法第12条)であり,その「外国の国籍を離脱」(同法第14条第2項)しておらず,「日本の国籍を選択し,かつ,外国の国籍を放棄する旨の宣言」(同項)もしていないが,国籍選択の「催告」(同法第15条第1項)を受けたこともない。このため生来の二重国籍のまま現在に至っているBは,過去3回の総選挙に連続して当選した現職の衆議院議員であり,さらに現時点では法務大臣政務官も務めている。
このようなBが代表者を務めている「資金管理団体」(政治資金規正法第19条第2項)に対して,Aが「本人の名義」(同法第22条の6第1項)により過去7年間に合計777万円を献金していたこと,しかも,その銀行「口座への振込み」(同法第22条の6の2第1項)の事実をBも当初から承知していたことが明るみに出た。この政治献金の発覚により,法務大臣政務官に就任後も外国籍を離脱していないことを不適格として批判されはじめたBには,さらに,「外国人……から,政治活動に関する寄附を受けてはならない」(同法第22条の5第1項本文)という禁止「規定に違反して寄附を受けた者」として「三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金」(同法第26条の2第3号)に処せられるおそれが生じている。また,もしも「禁錮」の実刑判決が確定すると「被選挙権を有しない」(公職選挙法第11条第1項第2号)ことになり,「各議院の議員が,法律に定めた被選の資格を失つたときは,退職者となる」(国会法第109条)という規定により,衆議院議員の地位を喪失するおそれも生じている。
こうした状況のなか,AとBの親子は,(1)①長年にわたり日本国内に居住しているAには,国籍にかかわらず,政治献金の方法による自由な政治的意思表明の権利が保障されるべきであり,外国人の政治献金を全面的に禁止している現行法の規定は,憲法に違反してAの権利を濫りに侵害しているほか,②それに基づいて「誠実に遵守することを必要とする」(日本国憲法第98条第2項)はずの国際人権規約により,「いかなる差別もなしに」(市民的及び政治的権利に関する国際規約第2条第1項),「代表者を通じて,政治に参与すること」(同規約第25条(a)号)が人権として保障されているのであるから,この意味においても明白な憲法違反である,と主張している。また,(2)近親者から政治活動資金の援助を受けている国会議員が稀有というのでもないのに,日本国籍をもたない父から寄附を受けているBだけが議席を喪失することにもなりかねないのでは,二重国籍を欠格事由としていない現行の選挙制度や議会制度において著しく不合理であるから,少なくともBの場合にまで現行法の禁止規定を杓子定規に適用するのは濫用である,とも主張している。
以上の架空事例について,AとBによる主張の当否を検討しなさい。

出題:立命館大学教授 倉田 玲