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基礎ゼミナール(1年生)紹介[江下 雅之]

明治大学情報コミュニケーション学部 基礎ゼミナール(1年生)紹介
江下 雅之 教授
(主要担当科目)情報社会論/メディアの歴史

≪学生へのメッセージ≫

 メディアはいかにして「発明」されたのか?この問いを考案するための基礎を築くための演習です。それは単純な技術史ではありません。人々の欲望や商売人の思惑が絡み合った結果でもあるのです。そうした過去を理解したうえで、メディアの<いま・ここ>を考えてみましょう。
研究テーマ
技術と産業・社会の相互作用的な関係の研究
■授業内容
 このゼミナールは,メディア史の基礎的な知識およびメディア史を理解するための視点を修得することを目的とする,メディア史の入門的な演習である。コミュニケーション形態の変容,新しいコミュニケーション様式における技術の浸透を切り口に,メディアの歴史を論じた書籍を用いた輪読形式の演習をおこなう。ただし,メディア史はきわめて広汎な範囲におよぶため,基礎ゼミナールにおいては,映画史と音響メディア史を中心に扱う。
 あらゆるメディアは何らかの技術的手段を用いるが,技術開発だけでメディアが形成されるわけではない。むしろ,新しいコミュニケーションを模索する過程で,それを合理的に実現する手段として,その時点で応用可能な技術が選択され,さらなる技術革新が促される。
 こうした意味では,メディア史とは,社会生活史,社会文化史に加え,産業経済史,技術史などの分野が絡み合う複合領域である。たとえば映画史であれば,フィルムという記録媒体の改良,カメラという撮影機器の開発の歴史に加え,映画で描かれる物語の表現形式,モンタージュ技法に代表される撮影および映像編集の方式,映像化される題材の開拓,スタジオシステムや配給システムなどのビジネス・イノベーションなど,多くのエピソードで形成されている。その理解には,メディアの成立を多角的に把握する必要がある。
 この演習では,メディア史のなかでも映画史(春学期)および音響メディア史(秋学期)を対象に,1)講義形式で基礎的な事柄を学ぶ,2)輪読を通じて学生自身がさまざまな事例を調べ,また,現在のメディア環境との関連性を考察する,の二つの活動を実践する。後者においては,1)資料収集,2)資料整理,3)レポートの作成など,リサーチの基礎的スキルの習得を目指す。
 この演習を実践することで,メディアの成立が技術的要因では決定しえないこと,そして,今日のメディア環境の理解にはライフスタイルやコミュニケーション様式の中長期的変化の理解が不可欠であること等を具体的に学ぶことができよう。
その他(アドバイス等)
  メディアやコミュニケーション行動の歴史,とりわけ現在社会に広く普及しているスマホアプリやゲーム等が,メディア史のなかでどのような系譜に位置づけられるのか,といった事柄に関心のある学生を歓迎する。ただし,ゼミの内容自体は,文献データベースを用いた資料収集や文献購読,そこから得られる知見の要約など,地道な作業が中心である。