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問題分析ゼミナール(3年生)紹介[鈴木 雅博]

明治大学情報コミュニケーション学部 分析ゼミナール(3年生)紹介
鈴木 雅博 准教授
(主要担当科目)情報社会と教育

≪学生へのメッセージ≫

 「あいつは大卒だ」とある人が発言する時,それは単なる情報の伝達ではなく,何事かをしている可能性があります。例えば,高卒ばかりの職場でのそれは,「有能さの称賛」/「少数者の除外」を成し遂げているのかもしれません。教育をめぐるやりとりをつぶさに見ることで,今まで気づかなかったことに気づくことができる,そんなことをめざしています。

■研究テーマ

学校の社会学
■研究内容

 本ゼミナールは,学校を対象とした質的研究の方法を身につけ,各自が関心を持ったテーマに対して研究を進めるための適切な「問い」を設定することを目的とします。
 従来の学校研究では,どのような教育が「良い」ものであるかを規範的に論じたり,種々のデータを集め,それをもとに対象間の関係を明らかにすることが目指されてきました。しかし,そもそも私たちが教育を論じたり,「データ」をそれとして理解するためには,それを可能にする種々の概念を共有していることが前提となります。例えば,「いま,授業中ですよ」との教師の発言は単なる事実の報告ではなく生徒への注意に聞こえます。こうした理解は,生徒には「授業を真面目に受ける」ことが,そして教師には「授業中不真面目な生徒を注意する」という活動が,それぞれ規範的に結びついていることで支えられています。つまり,「教師」「生徒」「授業」といった概念を話し手と聞き手が共有していることが先の発言が「注意」として達成されることを可能にしているのです。しかし,通常,私たちはこうした理解のしくみを自分ではうまく説明することができません。この点に目を向けるならば,人びとが諸概念を参照しながら織りなす実践それ自体に記述を与えることが,学校教育研究の取り組むべき課題として見えてくるでしょう。
 以上は,私自身が関心を持っている研究アプローチについて述べたものですが,ゼミナールでは,皆さんの関心に基づいて研究のテーマと方法を設定していきます。3年生の問題分析ゼミでは,先行研究に対するテキスト批評を行い,自らの問題関心をリサーチクエスチョンへと具体化していくことを目指します。4年生の問題解決ゼミでは,リサーチクエスチョンに答えるべく調査に取り組み,論文執筆に取り組みます。
 

その他(学生へのアドバイス)
 ゼミで扱える文献には限りがあります。「巨人の肩の上」にのるためには,自ら進んで先達の知見と格闘することが望まれます。