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2014年度 タイ国際シンポジウム

2014年度 ジェンダーフォーラム(タイ)

The Interdisciplinary Symposium: Knowledge Construction through the Lens of Social and Cultural Diversity

概要

The Interdisciplinary Symposium: Knowledge Construction through the Lens of Social and Cultural Diversity
(学際的シンポジウム「社会・文化の多様性のレンズを通しての知の構築」)
The Graduate School of Srinakharinwirot University, Thailand(開催地:タイ・シーナカリンウィロート大学大学院)
November 3-5, 2014(開催日:2014年11月3日~11月5日)

プログラム

11月1日 シーナカリンウィロート大学(タイ)に到着
     同大学国際課長ブラウニー氏と面会
11月2日 シーナカリンウィロート大学大学院長ソムチャイ准教授・公共政策経済学部チャンプヌッ准教授と面会
11月3日 シーナカリンウィロート大学大学院主催国際学会開会
     同レセプション(同大学院創設40周年記念行事)出席
11月4日 シーナカリンウィロート大学大学院主催国際学会参加
     口頭発表・ポスター発表参加
     会議参加者・大学院関係者との打ち合わせ
11月5日 閉会後、日本帰国

報告:細野はるみ(情報コミュニケーション学部教授)

タイのシーナカリンウィロート大学との大学間協定に基づいて本学部は研究や留学生交流を積み重ねてきており、ジェンダーセンターでも研究交流の機会を設けてきた。そこにインドのクマウン大学が加わって3大学間での研究交流が開始し、その手始めに、交流の核としてのジェンダーフォーラムが企画され、2013年3月にはインド・ウッタラカンド州ナイニタルのクマウン大学で初回のフォーラム開催の運びとなった。(以上、2011・2013年度年次報告書参照)次いで2014年11月にはタイ・バンコクのシーナカリンウィロート大学で第2回目のジェンダーフォーラムが催された。
 今回のフォーラムは、シーナカリンウィロート大学の大学院創設40周年記念行事と、同大学の卒業生であるタイ王室のシリントン王女の同大学院での博士学位取得の記念講演という、同大学にとって非常に重要な行事の中の一部として開催され、行事の全体では10ヶ国以上からの参加があった。ジェンダーセンターからは、教員3名、大学院生・学部生各1名の計5名で参加した。なお、松岡宗嗣君は政治経済学部の2年生である。
 今回の国際学会のタイトルは「学際的シンポジウム:『社会・文化の多様性のレンズを通しての知の構築』」であり、まさに多様な在り方への理解を深めるべく構成されていた。学会2日目の午前の開会式で、後述する国際シンポジウムのベストペーパー賞の贈呈式があり、その後の基調演説・特別講義に次いで、午後はパネルディスカッションの後、3つの分科会にわかれての研究発表があった。情報コミュニケーション学部のジェンダーセンターからのメンバーは、「ジェンダーアイデンティティ」の分科会に参加した。他の2つは教育と経済に関する分野であった。
 ジェンダーセンターメンバーの口頭発表は以下の2件であった。
・牛尾奈緒美「組織の情報化と女性の活躍促進—日本の就労環境におけるジェンダー・ステレオタイプを超えて」
・田中洋美・松岡宗嗣「デジタル時代における性の階層化—日本の出会い系SNSとその利用者の事例をめぐって」
 また、ポスターでの発表は以下の1件である。
・田中洋美・石田沙織「腐女子のマンガ消費—ジェンダーの視点から考える革新性と社会変化の可能性」
 ジェンダーセンターからの発表はいずれも好評で、特に学生の発表は今後の成果が期待されるとして大いに激励された。田中先生と松岡宗嗣さんのものはソーシャルメディアを通してのゲイのコミュニティの出会い系サイトについて、田中先生と石田さんのポスター発表はマンガを材料としたメディアのジェンダー分析で、いずれも情報コミュニケーション学部ジェンダーセンターの特徴をよく表していたと思う。
 その他の発表者からは、インド・クマウン大のジョシ博士によるヒマラヤ地域での伝統的ジェンダー観と資源保護の問題、タイの男女間の賃金格差、タイの若年層の妊娠問題などが挙げられていた。それぞれの国や社会固有の問題がジェンダーを通して浮き彫りになり、日本から提示された、先進国固有といっていい問題のあり方について改めて考えさせられた。
 今回の発表で提出されたフルペーパー全23本のうち、6本が査読付き雑誌に選抜されて優先的に投稿が認められた。うち3本が当ジェンダーセンターからのものであった。また、ポスター発表はベストペーパー賞を受賞した。
 国際学会の前後には、両大学との交流の更なる促進のための協議等を行い、今後の継続的交流を確認した。シーナカリンウィロート大学大学院長ソムチャイ准教授を訪問し、現在までの交流の成果を認め合うとともに、これまで以上の交流を進めることで合意した。インド・クマウン大学との交流については、今回1人で参加していたディヴィジャ・ジョシ准教授を通して話し合った。
 次回、第3回のジェンダーフォーラムを2015年度11月頃を目途に明治大学で開催することを提案した。その際、法科大学院ジェンダー法センターの辻村みよ子教授にも協力を仰ぐことで了承を得ている。また、明治大学の「スーパーグローバル大学創成支援事業」や「女性研究者研究活動支援事業」などとも緊密な連携を取って計画を進めていきたい。また、クマウン大学のジョシ准教授からは、2016年度のジェンダーフォーラムをインドで開催したいとの申し出があった。