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2017年度 インド国際シンポジウム

2017年度 ジェンダーフォーラム(インド)

International Conference“Urban spaces and gender: Exploring gender, marginalization and equity in urban spaces in the Asia-Pacific”

概要



International Conference“Urban spaces and gender: Exploring gender, marginalization and equity in urban spaces in the Asia-Pacific”
(国際シンポジウム「都市空間とジェンダー—アジア・太平洋地域の都市空間でのジェンダー、周縁化と公平性の探求—」)

India Habitat Center, New Delhi, INDIA(開催地:インド・ニューデリー,インディア・ハビタット・センター)
November 1-2, 2017(開催日:2017年11月1日~2日)

プログラム

【主催】クマウン大学UGCヒューマン・リソース・デベロップメント・センター
    (インド・ウッタラカンド州ナイニタール)
    The UGC-Human Resource Development Center
    Kumaun University, Nainital, Uttarakhand, India
【後援】ICSSR, New Delhi, India & UCOST, Dehradun, India

【日程とプログラム】
10月29日  成田発
10月30日  デリー到着、学術交流協議、クマウン大学ジョシ准教授ほか同大学関係者と面会
10月31日  インドの女性団体訪問、ALL INDIA WOMEN’S CONFERENCE
11月1日   ジェンダーフォーラム第1日(会議参加・発表など)
11月2日   ジェンダーフォーラム第2日(会議参加・大会参加者との懇談会)、閉会後、デリー発
11月3日   日本帰国 

報告:細野はるみ(情報コミュニケーション学部教授)

 本ジェンダーセンターは大学間交流協定校であるタイのシーナカリンウィロート大学と2011年度以来、学術交流を行っている。そこにインドのクマウン大学が加わり、本ジェンダーセンターとの3校の間で交流の幅を広げ、持ち回りで国際研究会(ジェンダーフォーラム)を開催してきた。インド・クマウン大学での第1回(2013年3月、2013年度年次報告書参照)、タイ・シーナカリンウィロート大学での第2回(2014年11月、2014年度年次報告書参照)、明治大学での第3回(2015年11月、2015年度年次報告書参照)に次いで今回は第4回目として実施され、2巡目の皮切りとなった。

 今回のフォーラムはテーマとして「都市空間とジェンダー」を掲げての国際会議として、2017年11月1、2日の2日間にわたってインドのニューデリーで開かれ、ジェンダーセンターからは運営委員4名と大学院生1名のあわせて5名の一行として参加してきた。前回のインドでの会議はクマウン大学のあるヒマラヤ山脈中腹のウッタラカンド州ナイニタールでの開催だったが、今回は同じくクマウン大学の主催でありながら会場は首都デリーでの開催で、参加者の関係大学・参加者数も多く、多彩なテーマでの発表が目白押しであった。発表者の所属国はインド各地の大学の他、タイ、シンガポール、バングラデシュ、インドネシア、それに日本という構成で、アジアの南方地域からの発表が多くを占める中で日本からの発表は大いに期待されるものであったと思われる。
 会議は全体会で主催校であるクマウン大学のディヴィア・ジョシ博士とシンガポール国立大学のキャロライン・ブラッサール博士の司会により進められ、開会挨拶に次いで、国際地理学会副会長であり、デリー大学地理学科元学科長のR.B.シン博士の基調講演、クマウン大学副学長のD.K.ナウリャール教授の主催者挨拶があり、その後テーマ毎の7つのセッションが持たれた。盛り沢山の発表に加えて活発な質疑応答でしばしば時間の不足が嘆かれた。スウェーデンからの参加者も大いに討議を盛り上げた。2日目の閉会式では細野はるみ本ジェンダーセンター長が閉会の挨拶を行った。
本ジェンダーセンターからの参加者もそれぞれに発表の機会を持ち研究の成果を披露した。ジェンダーセンター関係者の発表テーマは以下の通りである。
・田中洋美 ジェンダーセンター副センター長
 Reorganization of the public-private divide: sexualization of men and women in Japanese women’s popular media.
・山口生史 ジェンダーセンター運営委員
Japanese cultural traits hindering urban ecological adaptation of a gender issue in Japanese companies: Employee satisfaction with support for keeping work and family-life balance.
・高馬京子 ジェンダーセンター運営委員
Construction of kawaii as an idealized femininity dis/connected with modern, Western, and urban fashion in Japanese women’s Magazine an an.
・高橋香苗 情報コミュニケーション研究科学生
Ideal images of urban housewives in Japanese media: an analysis of a housewives’magazine, VERY.
 一口に都市環境と女性といっても、スラムでの貧困の問題もあれば先進地域での都市の問題もあるが、日本からの発表は企業内でのジェンダー問題やメディアでの取りあげ方など、日本固有の問題提起も多く、フォーラム全体に寄与したものと思われる。発表者の発表内容は後に書籍化される予定である。

関連機関訪問
 シンポジウムに先立つ10月31日、インドでの女性の地位向上に尽くしてきた女性団体「ALL INDIA WOMEN’S CONFERENCE」の本部を訪問し、関係者との意見交換などの交流を行った。この団体は1927年に設立され、インド最古の女性団体で、女性や子供の地位向上のため教育・権利確保・解放を目指して活動してきた。現在は全国に500以上の支部がある。デリーには立派な本部ビルを持っており、我々はそこで同団体副代表を含む10余名の理事と意見交換する機会を持つことができた。

その後の経緯
・フォーラムの後の交流会で、クマウン大学副学長から本学との間で研究・教育の交流関係を是非とも進めてほしいとの申し出があった。先回のインド訪問の際にはこちらから打診したもののあまり進展はなかったが、今回はインド側からの申し出で、今後の検討課題としていきたい。
・オープニング・セッションで基調講演を行ったデリー大学のシン教授は、その後の訪日の機会を利用して明治大学を訪れた。11月22日に特別講演会での講演を行い、土屋学長を表敬訪問、今後の明治大学とインド、デリー大学との交流の橋がかりとなる糸口を開いた。
 明治大学は現在インドとの交流関係はあまりないが、今後、本センターのみならず学部や大学での交流の計画がある場合、率先して協力していけるものと思われる。
・今回の会議に続いて、ともにジェンダーフォーラムを率いてきたタイからは2018年度内のジェンダーフォーラム開催の計画があるといい、それとは別にインドも近く会議を開催する企画があるという。我々のジェンダーセンターでも、近い将来に再び開催の機会を作り、この交流の一層の進展を図ることができたらと考えている。 

運営委員と情コミ研究科学生

高馬京子准教授