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 外部研究資金と研究所研究費
                                 所長 居駒 永幸

 この四月から所長として出席した会議で、外部研究資金(主に科研費)の獲得とその適正管理が話題にならないことはなかった。これが「外部評価に耐えうる大学」を目指す本学の生命線となるべき重要課題なのだということを、会議に出るたびに否応なく実感させられた。
 その中でいささか衝撃的な事実に接した。「平成19年度科学研究費補助金・機関別配分額一覧」において、本学の順位は108件、2億653万円で110番目というのである。六大学の中の他大学をはじめ、首都圏の総合大学はほとんど本学の上にいることになる。本学にとって厳しい現実である。このような一覧表を見ると、大学は科研費の獲得金額で完全に序列化されているという印象を誰しもがもつであろう。しかしよく見ると、本学の上に並ぶのは医学部や理工系をもつ国公立大学が圧倒的に多く、私立大学はたった11校である。だからと言って、これでいいはずはない。人文科学系においても大型研究・総合研究を積極的に申請する取り組みが必要なことは言うまでもない。
 昨年から本格的に動き始めた研究・知財戦略機構の目的が、外部研究資金獲得のための体制作りにあったことは周知の通りである。人文研など3研究所がその下の研究企画推進本部に組織され、今年度は科研費申請を前提にした研究の育成に乗り出した。「新領域創成型研究・若手研究」の募集がそれである。しかし、所属別に申請件数を見ると、技研が多数を占め、社研・人文研は少ない。この企画は学内で研究費を支給して研究を育成し、その上で科研費獲得に結びつけていこうとするものである。今後、人文研所属の教員、研究者の積極的な申請を期待したいと思う。
 このような競争的な外部研究資金が注目を浴びる中で、研究所研究費の存在価値はむしろ高くなっているというのが私の考えである。人文科学の領域ではどうしても継続的な調査・研究が必要になる。十数年にわたる定点調査でようやく結果が出て、それが画期的な研究成果をもたらすこともある。継続的発展的に申請可能な研究所の個人研究などは、そのような長期の調査・研究にふさわしい制度である。個人研究を十数年続けてまとめた成果が研究所叢書として日の目を見る場合も少なくない。研究所研究費の使命はきわめて重いのである。その意味からも、過去2年間の研究所予算の削減に対して、今後強く再考が求められる。
 外部研究資金の獲得と研究所研究費の活用、人文研の取り組むべき課題の一つは当面そこにある。

 
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