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2016年度高等学校卒業式

式辞

 三年前、私の校長としての着任と共に明治高校に入学した237名が本日、卒業を迎える。この三年間の様々な想い出の一つ一つが、今、脳裏に浮かんで来ていることであろう。
 本日、諸君の卒業を祝し、学校法人明治大学より柳谷理事長をはじめ多くの理事の方々が、また明治大学より土屋恵一郎学長をはじめ、学部長の先生方、そして総明会副会長、PTA会長、白駿会会長がご多忙の中、ここに御参列いただいた。心より御礼申し上げたい。
 さて、三年前の入学式の式辞において、私は、「この学校の空は広い。校門をくぐったら是非一度、空を見上げて欲しい。学び舎から校庭に出たら、必ず空を見上げて欲しい。そこには君たちの『高き理想』や『燃ゆる希望』がある。今日一日、いかなる知的蓄積を行なうのか、理想や希望のためにいかなる努力を行なうのか、空を見上げて我が身に問いかけて欲しい。そうすれば、諸君の三年間あるいは六年間はかけがえのない日々に変わって行くはずである」と述べた。
 人は地面ばかり見ていると、目の前に起きた出来事ばかりに気を取られ、大切な本質を見失う危険性を孕むことがある。科学的方法論では、事象が発生するところを「現象世界」、あるいは「経験世界」と呼ぶ。私たちが生活し、活動し様々な事象を発生させている現実の世界のことである。そうした事象は、いかなる要因によって発生するのか、何が原因でいかなる結果を生むのか、これから起こる事象を予測し、あるいは現状を正確に認識するためには、知的蓄積の上にもたらされる論理性や因果関係を理解していなくてはならない。「抽象世界」と言われる論理構造の世界は、「現象世界」を理解するために不可欠なものなのである。「抽象世界」には真実を見抜くための論理や理論が、先人たちの知恵の結晶として存在し、そのような知見は、私たちに進むべき方向性や理解すべき道筋を示してくれる。「抽象世界」から得られた知識と、「経験世界」から得られた現象を照らし合わせることにより、より確かな真実の把握が可能となるのである。「現象世界」が「地」とするならば、「抽象世界」は「空」に当たる存在である。
 今日、この学舎を出る時には、是非調布の広い空を見上げてほしい。そこには、君たちが大きく羽ばたくための理想と希望があるはずである。本校で六年間、あるいは三年間学んだ諸君には、中等教育として有り余る基礎学力が身についているはずである。これから大学に進み、是非、その実力を自ら確認して欲しい。「抽象世界」と「経験世界」、あるいは「天」と「地」、その関係を念頭に置き、学問の「魔界」で実力を試してみることである。臆することはない。君たちには充分な力が漲っている。
 もう一つ、諸君に語っておきたいことがある。はじめに申し上げたように私と君たちは一緒にこの学校に入学した。「人口学」では同じ年に生まれた人たちのことをCohortという。最新の生命表によると、18歳の男性は63.12年、女性は69.35年の平均余命が与えられている。これから先、君たちは長い年月、同じ時間を共有していくことになる。
 明治高校を2016年度に卒業するCohortは、同じ時間軸の上で生きていくことになるが、各自多様なイベントに異なる時点で遭遇していく。これからの人生、時には喜び、時には涙することもあろう。でも、君たちには、236名の友がいる。一人で悩むことはない。友と喜びや悲しみを共有すれば、その喜びは増幅され、悲しみは縮小していく。この三年間、「お互いに助け合い、共に成長していこう」と私は語りかけてきた。君たちの輝かしい人生のホームベースが、ここ明治大学付属明治高等学校であることを忘れず、総明会の一員として、いつまでも仲睦まじく、助け合いながら、共に逞しく人生を歩んで行って欲しい。
 諸君、卒業おめでとう。


                                                 2017年3月10日

                                         明治大学付属明治高等学校
                                                 校長 安藏 伸治  

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