「今という時間は今しかない!」
ボクは遊びまくっていた。マジックなんて忘れて。そんな折、仕事が入る。事務所に…。
社長:お、久しぶり。どうよ、大学は?
岡井:楽しいですよ、もう。
社長:だろうね、今が一番楽しいだろうね。自由だしさ。
岡井:登校することが苦じゃないんですよ、ていうか楽しすぎて、毎日が。
社長:これから減るよ、人。
岡井:え、どうしてですか?
社長:ゴールデンウィーク明けるとさ、クラスの3割くらい来なくなるよ。
要するに5月病っていうか、自由の意味をはき違えてさ。
岡井:そんなぁ、ボクは大丈夫ですよ。
社長:イヤイヤイヤ、俺もそうだったもん。そうなる予備軍だよ。気をつけろよ。

ひたすらサークルに打ち込み、授業もそっちのけで、時間が過ぎていた。バイトをしたり、時間をフルに使っていた。今までの生活と違って、好きなことを好きなだけやれるなんて、こんなに楽しいことはなかった。でも、不安がよぎる。「これでいいのか?」。朝慌ただしく出かけて、滑り込みで学校に行って〜なんて生活していたら、楽すぎる。クラスの中には就職のため、資格試験に取り組みだしている奴もいる。焦りがあるけど、まだ入ったばっかりだ、もうチョイ遊びたい。この葛藤はすぐに消えた。待ちに待った楽しいゴールデン・ウィークが近かったからだ。
「自由って、なんでもいいっていう訳じゃないんだよ。人生の中でただ一時の大学生活という自由はさ、その中で自分のこれからやるべきことを見つけるための調査時間なんだ。だから、右往左往して足掻けるのは今しかないんだよ、最大限活用しないと。将来後悔しないためにさ」あのとき社長は簡単にボクの思っていることを否定した。でも想像以上に納得のいく答えをもらった気がする。
M-style No.034(2010年5月20日発行)
『Turning Point ―事務所社長からのいつものダメだし―第2回』より
岡井 泰彦(Yasuhiko Okai)
1987年生まれ。2010年、明治大学政治経済学部経済学科を卒業。4月より明治大学職員。
在学中に、FISM(マジック・オリンピック)日本代表、世界マジックシンポジウム 1位等を受賞。
Japan Professional Magician's Association Member。国際的なマジック・コンベンションに多々
ゲストとして招聘され、プロマジシャンのアドヴァイザーやTV出演・制作協力・舞台監修など幅広
く活動している。
オフィシャルWEBサイト http://www.yasu-okai.com
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