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国際日本学研究科 カリキュラム概要

博士前期課程

キャンパスの様子

中野ブロードウェイ

 本研究科博士前期課程のカリキュラムは、主要科目と特修科目の2つの科目区分から構成されます。主要科目は、学生が選択した領域の指導教員から2年間にわたり個別指導を受け、自身の知的関心や問題を深める研究演習科目として位置づけています。特修科目は、それぞれの領域を学ぶ上で必要な課題を取り扱う講義科目として位置づけており、必修科目として「国際日本学総合研究」を設置しています。この「国際日本学総合研究」では、国際日本学研究そのものの理解と本研究科の基本コンセプトに関する共通認識の形成を目的としています。

 また、本研究科博士前期課程には、以下のような研究領域が含まれます。これらの研究領域は有機的に関連しており、互いに切り離すことができないところがあります。たとえば視覚文化やポップカルチャーの研究は、それを流通させる産業やメディア、あるいはそれが流通する社会やその文化のあり方の研究と切り離すことができません。また、グローバル化する文化や社会のあり方の研究は、多文化共生・異文化間教育の研究と切り離すことができません。基礎的な研究がそのような現代的問題の研究に貢献し、また逆に、現代的研究から基礎的研究が刺激を受けることが期待されます。
1)ポップカルチャー研究領域
 マンガ・アニメ・ゲーム・特撮に代表される日本のポップカルチャーの一翼の、文化・産業両面の歴史的な発展過程や現状、それらの国内外での受容や、ジェンダーとの関わり、さらには同人誌即売会や「おたく文化」の秋葉原への集中に見受けられるような、特定のスタイルやテイストの発生と、それに基づくコミュニティや場の形成などに目を向けます。また、サブカルチャーとみなされてきたものに大きくまたがるそれら文化のアーカイブ構築や、保存・運用に関する実践的研究を行います。
2)日本社会・産業システム研究領域
 近年、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を筆頭とするデジタルテクノロジーの革新と進歩によって、人々の暮らしは大きく変わっています。そしてまた、企業活動はますます高度化・複雑化し、社会の仕組みも多様化の様相を呈しています。この研究領域では、日本における消費行動や企業活動、産業構造、そしてその総体としての社会システムのダイナミズム、すなわちその変化や動態を研究します。より具体的には組織の在り方と企業文化、日本的経営やものづくり、日本的流通システム、広告、情報産業およびクリエイティブ産業などを対象として、実践的・理論的な諸問題を考察します。
3)多文化共生・異文化間教育研究領域
 この領域では、多様な人々が共に生きる社会づくりについて研究します。
グローバル化の進展の中で、外国からの労働者や留学生そして移民など多様な文化背景を有する人々が増加しています。また、地域社会や学校、大学あるいは企業における多様性(個性、ジェンダー、障がい等)もより重視されるようになりました。
 本領域では、そうした変化がもたらす課題を研究します。外国人に関わる課題、ダイバーシティ(ジェンダー、障がい、世代など)、地域における多様な主体の協働のあり方、多様性から知を生み出す教育および学習環境デザイン/テクノロジー活用、異文化体験が人間の成長・発達にどのように影響するか、多文化共生をめざす教育の実践とは何かなどが、研究の問いになります。
4)日本語学・日本語教育学研究領域
 日本語を研究対象とする「日本語学」の分野では、日本語を歴史的に捉える通時的研究と、現代語など時代を限定してその時代の日本語を捉える共時的研究が可能です。どちらの場合でも、日本語の姿を文字、語彙、文法、文章、運用、認識の仕方などの側面から解明します。
 日本語を外国語として教えるための研究をする「日本語教育学」の分野では、日本語に関する言語学的な知見と他の言語との対照に基づいて、学習者にとって日本語のどのような側面が習得しにくいのかを解明し、どのようにすれば学習者が自然な日本語を効率的に習得出来るようになるのかを追究します。
5)英語教育学研究領域
 母語は無意識で習得できるのに、なぜ第2言語を習得するのは難しいのでしょうか。どうすれば効果的な英語教育を行うことができるのでしょうか。その答えを得るためには、応用言語学、社会言語学、心理言語学、認知言語学などの言語学の分野はもとより、言語政策やメディア研究、脳科学など様々なアプローチが可能です。その意味で、英語教育は学際的な分野です。最新の理論や知見、研究方法を学び、教育現場で実践できる力をつけましょう。
6)文化・思想研究領域
 日本のことを知るにしても、世界の他の地域のことを知るにしても、そこに生きる人々がどのような文化を持ち、どのようなことを考えてきたのかという視角は欠かせません。この領域では、過去から現在へと至る世界各地の文化や思想について、幅広い視点から研究していくことを目指します。文献資料や有形・無形の文化財を知的資源として活用していくための調査・分析技術を習得し、さらに、その外側と内側に広がっている文化や思想にアプローチしていきます。

博士後期課程

教育課程編成の基本方針
 本研究科博士後期課程では、博士前期課程における研究領域の区分を無くし、学生が自らの関心にしたがって自由に領域を超えて学ぶことができる環境を整えます。博士後期課程で学ぶ学生の研究テーマは、より特殊で具体的なものとなりますが、それに伴って、より広い研究領域の知識が必要不可欠となるからです。
 指導教員のもとでの論文作成が、学生の研究生活の中心になるという点では、博士前期課程と博士後期課程の間に違いはありません。
カリキュラムの概要
 博士後期課程では、本研究科博士前期(修士)課程における教育研究を基盤としつつ、前述の教育編成方針に鑑みて、より広く深い研究を行うことを目指すべく、独自のカリキュラム編成を採ります。博士後期課程のカリキュラムは、必修科目と選択必修科目の2つの科目区分から構成されます。
 必修科目は、学生が選択した指導教員から3年間にわたり個別指導を受け、自身の知的関心や問題を深める研究演習科目として位置づけられています。選択必修科目は、それぞれの研究テーマを学ぶ上で必要な課題を取り扱う講義科目として位置づけられています。カリキュラム編成に関しては、2つの科目区分からの履修によって、学生が、選択した領域だけでなく関連する他領域についても有機的に学習できるように配慮します。