「明治大学広報」
 
第555号(2005年5月1日発行)
論 壇:文系学部教育改革提言
法学部長 土屋 恵一郎
 問題があきらかであるのにその解決への端緒を見いだすことができないとすれば、あえて軽率の誹りを恐れず言葉によって語ることが多分必要なのだ。その問題とは、学部教育の4年間一貫教育の実現である。

 明治大学の文系学部教育は、これまで長く和泉と駿河台に分離されて行われてきた。和泉における教養教育と駿河台における専門教育という分け方である。しかし、近年専門教育が1、2年生にもこれまでよりも濃厚に行われることになり、教養教育も4年間のうちで多様に行われるにようなってきた。そこには学生の要望もあり、教養教育も4年間にわたって行うことで拡がりのあるものとすることができる。語学にしても4年間を視野にいれれば余裕のあるカリキュラムを組むことができるだろう。

 教員相互にとっても、和泉と駿河台に分離されていることで、カリキュラムに制約が起こり、またなによりも教員の間の総合的、学際的教育と研究にとって、この分離された状態は不幸である。この状態を解決するための方法ははっきりしている。学部教育の4年間一貫教育を行うことである。ここまでは反対するものはいない。どの学部も賛成である。問題はこの先に生じる。4年間の一貫教育を行うためには、和泉と駿河台のキャンパスを再編成して、学部のキャンパス拠点を明確にしなければならない。このことがあるから議論ははじまらない。だが、最初に書いたように、問題が明確であるならば、その解決への道を歩きはじめるべきである。キャンパス再編の是非を問うのではなく、どのようにキャンパス再編をするのかを議論しはじめるべきである。

 さらにいえば、現在の学部事務機構の和泉教務課と学部事務室との分離は早急に解消されなければならい。既にその弊害は十分すぎる程周知のことである。学部の学生サービスの低下や事務機構の非効率を解消するためには、学部に事務機構を一元化して、学部事務運営の効率化と柔軟性を実現しなければならない。そのことが事務機構のスリム化にも貢献するはずである。この学部事務の一元化は、キャンパス再編よりもすみやかにできることであろう。これからの大学教育と研究は、教員と職員とが一体にならなければ大きな成果を生むことはできない。学部として教員と職員がその意志を共にすることで、教育のデザインも共同研究のプランも魅力的で実現可能なものとなる。効率的で稼働する学部への統合、それが必要である。

学部事務の一元化とキャンパス再編の議論をはじめよう。その声を届けたい。
広報部(お知らせ)へ
                            ・明治トップへ
 
ご購読のお申し込みは下記メールアドレスまでお願いいたします。
E-mail:koho@mics.meiji.ac.jp
閉じる