「明治大学広報」
 
第556号(2005年6月1日発行)
◆就任所感
 図書館長に就任して
図書館長  原 道生
 現在、大学における〈知の拠点〉としての図書館が持つ意味は、ますます大きなものとなっている。

 周知のような各大学間の激しい競合状態のなかにあって、優れた教育・研究面での成果を通して他校を凌駕していくためには、何よりも、その大学に具わる知的創造力の質の高さが不可欠の条件として重視されなければならないが、とりわけ、その際、その水準を保証する上での究極的な役割を果たすことになるものが、その大学の図書館の充実・整備をおいて他にはないということは、明らかなのではなかろうか。

 今回、はからずも館長に就任することとなり、野上前館長よりの引き継ぎをはじめとして、以後、駿河台・和泉・生田三地区それぞれの現状や課題についての説明を事務スタッフから受けてきたこの数十日間のうちに、改めて私が痛感させられている事柄は、まさにこの一点に他ならない。

 もっとも、そうした事情に関しては、いわば部外者でもあったこれまでにも、それなりの認識は持っていたつもりではあった。けれども、新しく図書館側から物を見る立場に就くことによって、改めて気付かされることになった事実も少なくはない。

 そのうち、特に図書館にとっての本質的な事柄は、図書館と学内諸セクションとの間、すなわち、諸地区・諸学部・諸機関等々との間には、私が予期していたよりもはるかに密接で有機的な関連性が存在しているということ、したがって、今後、図書館が、前記のような〈知の拠点〉としての機能を十全に果たそうとしていくためには、常に、それら諸セクションと協力し合いながら、それぞれにおける教育・研究計画の方向を正確に理解し、それに対して的確かつ迅速なサポートを実現していくことが可能であるような体制を構築していかなければならないということだった。

 今、図書館にとっての最重要課題は、長年の懸案であった和泉新図書館建設計画を、できるだけ早い機会に実現していくことである。目下、学内諸方面で構想されているさまざまな将来計画案を視野に入れながら取り組まなければならないこの作業は、困難ではあるが、それだけにやり甲斐のあるものといえるだろう。関係各方面よりのご協力をお願いする次第である。(文学部教授)
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