「明治大学広報」
 
第560号(2005年8月1日発行)
論 壇: MBSのカリキュラム改革
グローバル・ビジネス研究科長 刈谷 武昭
 明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科(ビジネススクール、以下MBSと略)では、来年度に向けて大幅なカリキュラム改革を行なった。改革のコンセプトは「先進性と総合性」であり、進化を先取りした「ビジネス社会のニーズへの対応」である。内容は、ファイナンス領域、マネジメント領域、アカウンティング領域、マーケティング領域、リアル・エステート領域、複合領域(知的資本戦略論、事業リスクマネジメントなど)の6領域を持つ体系である。この体系は、高額な授業料を支払い、夜7時から10時まで、土曜は1日学習するMBS社会人には、自らをビジネスプロフェッショナル(高度専門的職業人)として社会的に「個」を確立し、「成功」してもらうための内容である、と思っている。そして社会的教育基盤として、MBSがその存在理由を示していきたい。

 ビジネススクールの場合、社会人が対象であり、時代を反映して企業派遣学生は少なく、基本的には授業料は自己負担である。また年齢的(現在最高年齢63歳)にも職種的にもきわめて多様である。それだけに、学生からのカリキュラムを中心とした「教育商品」への品質評価は厳しい。高度専門性としての実践性と戦略的思考の基礎となる理論の先進的かつ総合的教育、教育への明確なコミットメントときめ細かなニーズへの対応が必要である。そのために、戦略的に重要な講師を民間から招聘して、進化に対応していく必要がある。グローバル化・IT化のビジネス界における競争は一層激化し、ビジネスの知識は急速に陳腐化しがちである。その中で、もちろん教員自ら先進性を求めての自己研鑚が必要である。

 現在、大学設置・学校法人審議会専門委員として専門職大学院設置の審査にかかわっているが、ビジネススクールをめぐる競争環境は厳しくなるばかりである。株式会社形態での参入を狙った申請も複数ある。そのため、今回の改革のように、競争優位性を狙ったプロアクティブなカリキュラム改革を絶えず行なっていく必要がある。そして、MBS教育商品として自らを差別化するとともに、民間や政府との連携や多様なコミュニケーションをして、MBS自己ブランドを確立していくことが必要である。

 社会との連携では、みずほ証券からの寄付や11月9日予定のみずほ証券後援MBSシンポジウム、経済産業省からの無形資産研究プロジェクトと11月30日に知的資本経営の国際シンポジウム共催予定、CFA試験のためのAFA試験免除認定校予定、不動産鑑定士3次試験にかかわる国土交通省の認定校を求めていくなど、一歩一歩積み上げようとしている。

 大学や校友会からの温かなご支援もお願いしたい。
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