「明治大学広報」
 
第561号(2005年9月1日発行)
  〇人間的「教育の情報化」推進のために
   〜明治大学における現状と展望〜
 教育の情報化推進本部の活動目標

 すでに本学はク情報基礎教育の全学的な実施、ケネットワーク環境の整備、コ教育・学習支援システム「Oh-o! Meiji」の企画・開発と充実、サコンテンツ作成事業としての「100コンテンツプロジェクト」等、情報メディア環境の整備、拡充を積み重ねてきている。その結果、本学は情報メディア環境が最も先進的に発展を遂げた全国の大学から注目されている。しかし、さらなる展望を切り開くための、教学サイドの全学的組織がなかった。

 そこで、2005年4月、情報メディア環境を活用し、教育学習支援活動を推進させる全学的な組織として、学長の下、「教育の情報化推進本部」を設置したのである。本部の役割は、さらなる教育の情報化の進展を図るために、教育の情報化にかかわる諸問題を総合的に検討し、その具体的方策の企画・立案・実施を統一的かつ円滑に行うことである。

 この本部の中に、「教育支援推進部」「情報環境推進部」「情報教育推進部」の3推進部を置き、本部の運営にそれぞれの役割に応じて任務を遂行する。そして、本部全体として留意していかねばならない諸点は、ク情報資源の有効利用のための無駄の排除。そのために選定部会を設置する、ケパブリックコメントを含めた情報公開を積極的に行う、コ全学的な著作権ポリシー・著作権ガイドラインの策定のための、全学的組織の設置を目指す―である。

 教育支援推進部 〜改革精神を根づかせる〜

 「Oh-o! Meiji」システムにスケジュール機能を付加するなど、さらなる充実を図りながら、教員・学生への利用周知方を徹底していく。また、鋭意進められている「100コンテンツプロジェクト」作業によるデジタル教材の拡充を目指す中で、情報化と教育の人間的連結を模索する。そのためにも、2006年度には教材開発室の立ち上げを目指す。さらに、実現が待たれているWeb履修が、本学の教育改革にも直結するよう本推進部も全力を挙げる。

 情報環境推進部 〜教室における教育環境の最適化を〜

 将来の教育環境の変化に対応しうる情報・メディア設備等を整備するためには、e―ラーニング、ユビキタス教育等をめぐる技術的な革新をも視野に収めながら、的確な環境整備に努めなければならない。しかし、この推進部の目的は単に先端の技術環境を後追いすることではない。最先端の情報環境と最小限の情報環境(ミニマムリクワイアメント)の両極を想定しながら、〈教室における教育環境の最適化〉を目指すことが目的である。

 情報メディア環境を活用することにより、授業方法の幅を広げ、教育の質的向上を図ること、また、教育技法の改善や教材開発等を側面から支援することが当推進部の役割である。と同時に、情報化と教育の人間的つながりを模索していくことになる。

 情報教育推進部 〜より有用な情報論を目指して〜

 今後とも、明治大学の情報環境の利活用促進を念頭におき、また、学部等で展開される情報に関する専門科目に資するため、学部間共通科目として設置されている基礎的および応用的情報科目の運営にあたる。

 2006年度には、高校の教科「情報」既修者が入学してくる。しかし、これまでの検討では、本学の情報基礎科目のカリキュラム内容に抜本的な変更の必要性はない。当推進部も基本的に従来のミニマムリクワイアメントを踏襲する。そして、各種情報論については、マルチメディア化、ソフトウェアの高度化に伴い、旧来の「文字」「画像」「数値」といった枠組みが適合しなくなりつつある。現在何が必要とされているのか、さまざまな学問分野や社会の動向やニーズをふまえて再編を検討する。

 人間的「教育の情報化」推進のために

 「Oh-o! Meiji」システムのさらなる機能の充実も、教員教材のデジタルコンテンツ化作業も、きたるべきユビキタス社会への対応も、3地区のIT環境の整備も、情報教育の充実も、私たちが目指すところはひとつである。教員の教育改革への熱意と、学生への理想的学習機会の提供とが見事に一致する「学びの場」に、教育の情報化が人間的な条件を整えながら歩み寄りスクラムを組む、そこに教育の本道がある。血の通った人間的「教育の情報化」を明治大学は目指す。

(二部教務部長・吉田悦志=政治経済学部教授
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