「明治大学広報」
 
第567号(2006年1月1日発行)
◆教学特集
 明治大学の教育改革−明大の教育力! 採択GPの今
 〇教育改革支援本部 活動の現状と展望
2004年12月に本部体制に衣替えして、文部科学省等への各種優れた教育取組プログラムの申請作業に入ったのは2005年1月のことでした。「特色ある大学教育支援プログラム」(特色GP)の申請作業を皮切りに、10月3日の「大学院教育イニシアチブ」(大学院GP)ヒヤリングまで、実に1年の大半この作業にたずさわったことになります。そしてこの本部が、何よりも納谷学長の強力な指導力の下に置かれていたことも、全体の結束を可能にしました。
 この間、副本部長の横井教授、幹事の外池教授、塚原教授を中心とした幹事会と本部員が、学長室事務室や教務課あるいは調査課、資格課程事務室、大学院事務室等の職員としっかりとしたスクラムを組めたことが、本部会議運営の欠かせない条件になりました。さらに、9セクションを柔軟に設置しながら進めましたが、そこに集った教員職員総勢50名を越すみなさんの協力が、何よりありがたいことでした。お陰様で、採択結果は計4件でした。健闘したと総括してよいと思います。あらためて明治大学の潜在的教育力の存在を確認することができました。また、不採択になった取組も、素晴らしい内実を備えていました。今後、そうした教育プログラムを育てていっていただきたいと思いますし、本部は変わらず協力体制を組んでいきます。
 すでに2006年度に向けた活動をはじめています。幹事会での議論を進め、新たな本部活動を開始しています。
(二部教務部長、明治大学教育改革支援本部本部長・吉田悦志=政治経済学部教授)
 〇2005大学院GP採択 MTS数理科学教育
 Multi-Track-System数理科学教育を実現し、大学院で身につけた数学の力を生かしながら実社会や教育界で働く、新しいタイプの人材、すなわち、社会と数学の間に「数理」という橋を架けることができる人材の育成という大きな目標を掲げ、採択された。理工学部・理工学研究科の将来構想「I―MAST計画」達成への大切な一歩でもある。
 この取組では、大学院に現象数理・理論数理・数理教育という3コースを開設し、研究者と博士の学位を持った高度専門職業人の育成を行う。数理科学教育に国際的な新モデルを提供しようとする、数年間にわたる計画である。
 幸い、学部の学生たちにはこの計画への賛同があり、来年度は約20名の学生の大学院進学が内定している。すでに、学内外の傑出した指導者によるセミナーも、現象数理・理論数理コースを中心にはじまった。
 砂田利一教授・三村昌泰教授とともに、おおわらわで人的・物的研究教育環境の整備に努めながら、明日を目指す、多忙な毎日である。
(後藤四郎・理工学部教授)
 〇2005海外GP採択 障害をもつ人に開かれた大学へ
 文部科学省による大学の優れた教育実践の取組に対して支援を行う平成17年度「海外先進教育実践支援プログラム」として、高等教育のユバーサル・アクセスを実現するため、すでに多くの実績を有する諸外国の大学機関に学び、全学的なボランティア・センターおよび学習支援の実現を図ることを目的とした「大学教育における障害者学習支援」(代表=高橋正泰・経営学部教授)が採択されました。このプログラムに基づき、9月にはメンバーである経営学部ボランティア・センター長である高橋正泰教授、同センター運営委員の辻昌宏教授、伊井邦夫経営学部事務長、文学部小林繁教授、理工学部の園田眞理子助教授の5名でスウェーデンとデンマークで聴取調査を行い、その成果の一部が12月10日に開催された明治大学人権講演会・国際GP公開シンポジウムで「大学教育における障害者学習支援」として報告された。2006年3月には引き続き、北米でオレゴン大学を中心に調査を行う予定である。
(高橋正泰・経営学部教授)
 〇2005年度採択GP いよいよ本格的展開へ
 文部科学省が平成17年度に公募したGP(グッド・プラクティス)で、本学からは4件(現代GP、大学院GP、国際GPならびに共同申請の法科大学院等専門職大学院形成支援プログラム)が採択されました。それらの取組は、いずれも21世紀の大学改革のあるべき方向を先取りするものであり、全国の大学改革の模範となりうる取組でなければなりません。文部科学省が採択GPに対して財政的支援を行うのは、このように判断したからに他なりません。
 本学の採択GPに関しては、すでにホームページで採択以降の取組状況を報告・紹介しておりますが、それ以外にもフォーラムやシンポジウムの開催、冊子・パンフレットの刊行等を精力的に行なってきました。初年度の助走期間はほぼ脱して、今年は全学規模での本格的展開を開始します。みなさんのご支援とご協力をよろしくお願いいたします。
(学長室専門員・横井勝彦=商学部教授)
 〇2005現代GP採択 広域連携支援プログラム
 8月の採択決定後、商学部では現代GPの実施体制を整備するとともに、10月の交付の正式決定以降、事業を次々に行なってきた。現代GP採択記念フォーラムの開催をはじめ、自治体の首長・教育長によるリレー講座(明治大学リバティ・アカデミーと浦安市で実施)、千代田区立昌平小学校総合学習においての学生による食育・経済教育の授業、操作簡単なIT機器による学生と高齢者の通信実験、インターンシップの実践と報告など各事業がスムーズに進み、学生への教育効果を発揮するとともに地域への貢献を果たしている。特に、大学生の指導の下での小学生の野菜販売(11月に小学校総合学習として実施)を明治大学駿河台校舎アカデミーコモン前広場で行えたことは画期的であり、それは、商学部のみならず、大学をあげての協力により実現しえたものである。
 今後とも関係各方面の協力を得ながら、明治大学の現代GP事業を進めて行きたいと考えている。
(水野勝之・商学部教授)
 〇2004海外GP採択 西シドニー大学との共同による法学教育
 2005年2月下旬から4月はじめまで、豪州シドニーの西シドニー大学(UWS)法律・ビジネス学部ロースクールに間宮勇法学部教授とともに滞在した。季節は晩夏で、過ごしやすかった。研究室を与えられ、また法学入門、契約法、国際取引法といった授業に参加し、当地での法学教育の実態をつぶさにみることができた。週2回の授業で1クラスは60人、毎週この60人をさらに15人の小クラスに分割して別途補習授業を行うというのが基本的なスタイルである。学生達は極めて熱心に学業に取り組んでいるようにみえた。
 法学部では昨年11月12日にUWSロースクール教員4名、豪州弁護士、裁判官各1名を迎えて、シンポジウム「日豪における法律家の役割と紛争処理の比較」を法学部1年生900名を聴衆としてアカデミーコモンで開催した。法学部では法学教育の国際化をめざし、2005年度にIntroduction to Modern Law, Business Law in Englishといった英語による講義を開設しているが、今後、UWSロースクールとの連携のもとでLegal Writing in English, Legal Speaking in English, Summer Law School in Australia(シドニーで開催)といった科目を順次開設していくことを検討している。
(高橋岩和・法学部教授)
 〇2004法科大学院等専門職大学院GP
  「プロセス」学業評価 システムの現状 
 2004年度中は、本システム構築のための検討と実施計画の策定を行い、学生の学習を総合的継続的に支援し、カリキュラムや入学試験制度の検討を行う上で必要有益な「学習支援カルテ」のグランド・デザインを設計した。それを踏まえて、システム構築のためのコンピュータプログラムの設計と機材を発注した。
 2005年度は試験的に一部のプログラムを稼働させた。学習支援カルテに必要なデータの収集・入力とデータベースの構築をする予定だったが、昨年4月の個人情報保護法施行を踏まえて、本システムの管理および個人情報保護に関する内規を定め、管理責任システムを構築した。来年度の本格稼働に向けて、セキュリティ上から専任スタッフの確保が不可欠である。
(河内隆史・法科大学院教授)
 〇2003特色GP採択 ネットワークを用いた教育学習支援システム
 平成15年度の特色GPに「ネットワークを用いた教育学習支援プログラム」が採択され、本学が情報最先端の大学と認められた。このことにより、学外で高く評価されていたOh-o! Meijiシステムが、学内で広く認識された。現在では一層のコンテンツが蓄積され、利用者が飛躍的に増加している。
 教育学習支援であるクラス・ウェブは、専門職大学院や理工、政治経済学部などで半数近くの教員が活用。他の学部でも教育の基幹システムとして浸透し、教育の質の向上に大きな貢献をしている。またポータル・ページは、学生の7割以上が利用し、大学生活に不可欠な存在となっている。
 本学の重要な資産として、今後も全学的な支援をいただきたい。
(安藏伸治・政治経済学部教授)
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