リーダーInterview

折り紙工学を用いた
産業イノベーションを実現する

萩原 一郎

明治大学 研究・知財戦略機構・特任教授
先端数理科学インスティテュート所員

各グループのリーダー役を務める先生にボク「めいじろう」がインタビューしました。
それぞれのテーマの意義や将来展望をじっくりお聞きしてきましたよ。

折り紙の長所をモノづくりに生かす折り紙工学

萩原教授にうかがいます。先生のグループが取り組んでいる折り紙工学とはなんですか?

折り紙を数理科学的に研究して、工学に応用する学問のことです。まだ新しい学問ですから、イノベーションが生まれる余地がたくさんあります。折り紙にはいろいろな長所がありますが、それは何だと思いますか?

うーん、折ったり曲げたりすることで、いろいろな形がつくれることでしょうか?

そう。折り畳んだり、展開したりできる折り紙の特長は、人工衛星のソーラーパネルなどに生かされています。ロケットに積むときは小さく畳んで、宇宙で大きく広げるといったようにね。また、軽くて強いことも折り紙のメリットです。こうした折り紙の優れた特性を産業に活用することが私たちのグループの目標なんです。

例えばどんな応用が考えられますか?

折り紙の応用範囲はとても広いのですが、自動車の衝突吸収の仕組みはその代表例です。折り畳み構造のバネ特性を利用すれば、スムーズに衝撃が吸収でき、実用化されればクルマの安全性能は大きく進歩すると思います。また、振動を抑える機能もあります。これは、クルマのシートや建物の免震などに役立てたいと思っています。

課題はありますか?

折り紙は大量生産が難しいことがネックになっていました。これを解決することが、このプロジェクトのカギだと思っています。

産業化のカギを握る「折り紙式3Dプリンタ」

それにはどんな方法があるのですか?

それが、いま普及を目指して開発している「折り紙式3Dプリンタ」です。現在主流となっている樹脂などを積み上げていく方式の3Dプリンタに比べ、折り紙式3Dプリンタは、3Dデータで作成した展開図を印刷して、組み上げる方式なので、サイズや色が自由にできるなど、ものづくりに大変都合が良いと考えています。

いろいろな活用ができそうですね。

例えば都市計画です。折り紙式3Dプリンタを使えば、撮影した街区のデータをもとに立体化し、街並みの模型を使って実験をしながら、計画の検討ができます。日照や風の影響なども、いままでよりずっと実際に近い観察ができるでしょう。

家づくりやインテリアはどうですか?

設計図から建物を立体化するソフトも開発しています。家具なども3D化すれば、インテリアをよりリアルに想像できますね。

でも、折ったり貼ったりが大変そうだなぁ…

そのために、組立てを自動で行う折り紙ロボットも開発しています。厚紙や樹脂、金属などを折り曲げるロボットが完成すれば、さまざまな製品も折り紙式3Dプリンタでつくる時代がくるはずです。

そういう未来が明治大学から生まれるとしたら画期的ですね!

もともとはMIMS(明治大学先端数理科学インスティテュート)の取り組みからはじまったことですが、プロジェクトを進める中で、理工学部やその他の学部とも手を結び、新しい学問の広がりを見つけたいと思っています。また、折り紙工学は製品開発のコストを削減する意味で、中小企業などにとっても活用できるチャンスがたくさんあります。ぜひ一緒に研究開発に参加していただきたいと思っています。

「ある一定の荷重を超えると柱は急激に折れ曲がる。この現象を「座屈」と言い、生命現象や金融にもこうしたポイントがある」と語る萩原教授。

展開収縮のキーワードが、このらせん構造。らせん角と長さ、材料特性によって反力が変わるが、衝撃吸収材や簡単に潰せるペットボトルなどへの応用が考えられる。

期待がふくらみます。先生、ありがとうございました。

めいじろうチェック!
  • 折り紙の優れた特性を産業に生かす研究です
  • 普及のカギを握っているのが「折り紙式3Dプリンタ」
  • 紙だけでなく、金属や樹脂などの素材を使うことでものづくりへの応用範囲はどんどん広がります

PAGE TOPへ戻る