5つの研究

2. 錯覚現象の解明と利用へのモデルからの接近

平成28年度

目標

人の視知覚とそれに基づいた環境認識能力は、科学的に未開部分の多い研究分野である。特に環境誤認は事故などの原因ともなるため,それを防ぐためにも視知覚の仕組みを解明することは重要な社会的課題である。本研究の目標は、人の視知覚・環境認識能力の仕組みを数理モデルを通して解明し、それを環境誤認とそれに伴う事故の防止、人とコンピュータのスムーズな対話の実現などに役立てることである。

実施計画

MIMSの計算錯覚学グループ(グループリーダー:杉原厚吉(MIMS研究員))が中心となって、脳における視覚情報処理の数理モデルを構築し、環境の正しい認識を妨げる視覚システムの特徴とその原因を浮き彫りにする。錯視の強さの数量化法および錯視量の制御法を開発する。錯視量の最小化による誤認の危険の少ない生活環境や人とコンピュータの対話環境の整備と、錯視量の最大化による見落としにくい標識の設計や新しいメディア表現へ応用することによって、安全な社会作りに貢献する。

平成29年度

目標

目標を実現するモデルの構築とともに、それを国内外へ広く発信するシステムを作り上げる。

実施計画

脳における視覚情報処理の数理モデルの構築。

平成30年度

目標

関連する研究集会を開催することから、目標を実現するモデルを広く国内外に発信し、関連分野の先導を図る。

実施計画

錯視の強さの数量化法の構築。

平成31年度

目標

評価委員会からのフィードバックにより計画をより具現化し、更なる社会貢献の実現性を高める。

実施計画

環境を変えたときの錯視量の予測法および錯視量の制御法の開発。

令和2年度

目標

世界の科学・技術の進展、豊かで安心できる社会の実現に貢献することから、本学の最高レベルのブランディングを構築する。

実施計画

誤認の危険の少ない生活環境の整備、見落としにくい標識などによる安全な社会の実現。

錯覚現象の解明と利用へのモデルからの接近

研究メンバー

今までに構築してきた立体知覚の数理モデルを、心理学的知見をさらに取り入れて改良するとともに、新しく構築しつつある網膜情報処理の数理モデルを完成させる。そして、それらに基づいて、各種の錯視が、視覚が本質的に持たざるを得ない必然的現象であること、および錯視が強く起こる条件を明らかにする。錯視による環境の誤認は事故の原因となるから、数理モデルによる錯視量最小化という手段によって、錯視の起きにくい環境を整備し、安全な生活環境作りに貢献する。

グループリーダー
杉原厚吉(明治大学 研究・知財戦略機構研究特別教授、MIMS研究員)
視覚情報処理の数理モデリング
三村昌泰(広島大学 大学院統合生命科学研究科客員教授、MIMSフェロー)
ベイズ理論からの錯覚へのアプローチ
中村和幸(明治大学 総合数理学部教授、MIMS所員)
人の能力のコンピュータによる拡張
宮下芳明(明治大学 総合数理学部教授、MIMS研究員)
インタラクションデザイン
渡邊恵太(明治大学 総合数理学部准教授)
人とコンピュータの協調
中村聡史(明治大学 総合数理学部教授)
錯視立体設計アルゴリズム
森口昌樹(中央大学 理工学部准教授、MIMS研究員)
立体錯視の解明
杉原厚吉(明治大学 研究・知財戦略機構研究特別教授、MIMS研究員)
視覚モデルの数理解析
近藤信太郎(岐阜大学工学部准教授、MIMS研究員)
視覚モデルのシミュレーション
須志田隆道(サレジオ工業高等専門学校講師、MIMS研究員)

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