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明治大学広報
第608号(2009年6月1日発行)
就任所感
「研究に必要な条件の拡充をめざして」
社会科学研究所長 山田 道郎
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 社会科学研究所の所長として所感を述べる前に、研究者として、大学における研究の意義について、日頃考えていることを述べさせていただきたい。それは特別目新しいことではなく、ごく当たり前のことであり、多くの研究者の賛同を得られると思う。

 私は2008年度の特別研究者として一年間研究に専念することができた。そして、それなりの成果も出すことができたが、その間、研究や教育についていろいろと考える時間をもつことができた。いうまでもなく、われわれ教員の大学における役割の基本は、研究と教育にある。両者は有機的に関連している。研究の結果が教育に反映され、教育の場での疑問が研究にきっかけを与えてくれる。このように、研究は大学にとって最も重要な構成要素である。

 ところで、研究に必要なのは、研究時間と研究費である。従来研究助成というと、後者にばかり目がいきがちであった。実際、研究の内容にもよるが、研究には費用がかかる。しかし、研究に不可欠なのは時間である。発想に独創性をもち、あらゆる可能性をつきつめた研究には時間的余裕─それは実は心の余裕である─が必要である。それもある程度「まとまった時間」でなければならない。年々そのような時間が少なくなってきている。多くの研究者が独創的な研究に従事するための必要条件の充足が、困難になってきている。

 社会科学研究所は、長年にわたり所員の研究促進のための助成、講演会・シンポジウムの開催、叢書等の刊行などを通じて所員の研究活動を援助してきた。社会科学研究所のあり方について検討が求められているなかで、独創性をもった研究の支援のために、ひいては明治大学が研究大学として一般的承認を得るために、社会科学研究所として何ができるかを、所員および運営委員の皆さんと一緒に考えていきたい。

(法学部教授)



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