文科省の学術フロンティア推進事業「次世代機能材料『漆』の高度利用に関する学際的研究」(=漆の学術フロンティア推進事業)を手掛ける明大は、漆をテーマにした催し、「〜過去から未来へ〜ときをつなぐ漆」を1月15日から17日の3日間、駿河台校舎アカデミーコモンで共催した。 これは、漆の学術フロンティア推進事業の一環として、古代から日本人の生活に密接な関わりを持つ漆を、より多くの人々に深く理解してもらうべく企画されたもの。 催しでは、国内最大の漆産地である岩手県二戸市、植物としてのウルシの研究から漆器加工・流通まで漆産業と技術・文化の継承と発展を図る「漆サミット実行委員会」の共催で、各種講演会と展示が行われた。 講演会では、「漆の考古学」「漆の気体透過の科学」など研究成果の発表や、漆産地の現状に関わるパネルディスカッション、人間国宝の増村紀一郎氏(きゅう漆)と室瀬和美氏(蒔絵)の講演会などが行われた。 特に15日には、二戸市名誉市民である瀬戸内寂聴師による開会記念講演も行われ、約1000人の来場者が、寂聴師の話に耳を傾けた。 展示会場では、日本とアジア地域の漆工芸品、ハイブリッド漆やインクジェット印刷を利用した蒔絵などの研究成果、漆掻き体験コーナーや、二戸市浄法寺地域の紹介などがあり、来場者は興味深く見入っていた。 漆の学術フロンティア推進事業研究代表者で、今回の催しの中心的役割を果たした宮腰哲雄理工学部教授は、「幅広い層の方々に漆の研究を知ってもらう好機となった。本事業は社会連携も使命のひとつ。漆産業に携わる人々が課題や情報を共有するネットワークを築くこともでき、日本古来の伝統文化を守る役割も果たせた。多くの関係者の尽力で実り多い催しとなった」としている。 学術フロンティア推進事業「次世代機能材料『漆』の高度利用に関する学際的研究」 研究・知財戦略機構 前のページに戻る