本棚 「布施辰治研究」 山泉 進・村上 一博 編(日本経済評論社、4000円)



布施辰治は明治法律学校出身の弁護士であった。その名前が近年知られるようになったのは、2004年に、韓国政府より「建国勲章」を授与されたことによる。布施は、植民地統治下にあった朝鮮独立運動を支持し、この運動によって逮捕された学生たちの弁護活動をおこなった。布施自身も治安維持法違反で投獄され、弁護士資格も停止された。韓国政府が布施に「建国勲章」を贈ったのはこの活動による。

『布施辰治研究』は、布施の弁護士活動をさらに広くとらえて布施の法律家としてのスピリッツをあきらかにしている。廃娼運動、死刑廃止論、小作争議への激しいかかわり。興味深いのは、布施の活動の背後に「生の宗教」と呼んだ死生論があることをあきらかにしたことである。そして、根底には明治法律学校で学んだ自由・平等の精神があると布施は言っている。明治大学創立者岸本辰雄の私学創立のラディカルな在野のスピリッツをあらためて岸本の言葉によって確認できるのも、この本の価値である。

土屋恵一郎・法学部教授
(編者はともに法学部教授。明治大学史資料センター監修)

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