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南太平洋クック諸島首相来訪 プナ首相講演「連携推進へ期待」

講演で地球温暖化対策を訴えるプナ首相=6月16日、リバティホール 講演に先立ち納谷学長らと意見交換を行なった

明治大学は6月16日、太平洋諸島センター(Pacific Islands Centre,PIC)とともに南太平洋・クック諸島のヘンリー・プナ首相を招き、駿河台キャンパス・リバティホールで特別講演会を実施した。

これは本年3月25日、日本がクック諸島を193番目の国家として承認したことを受け、このたびプナ首相が日本との外交関係開設のために来日したことから実現したもの。当日は、首相はじめ首相府事務次官、外務移民事務次官ら同国関係者一行が本学を訪れた。

プナ首相は納谷廣美学長ら大学役職者との懇談後、講演会に臨み、「クック諸島と日本の関係強化に向けて」と題して講演。会場を訪れた多くの学生や教職員をはじめとする聴衆は、クック諸島が直面する環境分野の課題などについて認識を深めた。

プナ首相は講演に先立ち、東日本大震災へのお見舞いを述べるとともに、「自身が弁護士でもあり、法律学校を前身とする明治大学に親しみを感じる。積極的に各国政府関係者を招いて講演を行うなど、グローバルな相互理解を推進する貴学の姿勢に共感を覚える」と親しみを表した。

講演会は、西尾哲茂法学部教授の司会で進行、プナ首相よりクック諸島の地理的環境・歴史的背景が紹介された。続いて、観光や金融サービス、真珠養殖・深海漁業などの主要産業についても紹介があり、「日本とクック諸島はともに太平洋に属する島国であり、海洋資源・海洋環境が大切である点でも共通している。食糧安全保障や再生可能エネルギーの発展に向け、両国の関係発展を確信している」と述べた。

プナ首相は、特に地球温暖化への対応について警鐘を鳴らし、「温暖化により数センチメートルでも海面が上昇すると、クック諸島の島々は破壊的な影響を受けかねない。わが国政府は再生可能エネルギーに全面的に賛同し、2015年までに国内エネルギーの50%を再生可能エネルギーに代替したい」と意欲を示すとともに、日本からの技術・ノウハウの導入に期待を寄せた。

講演に参加した学生は、「ポリネシアやミクロネシア地域に関心がある。この講演で、普段なかなか分からないクック諸島の現状を知ることができて興味深かった」(男子・商学部3年)など、本講演をきっかけにクック諸島への関心の高まりがうかがわれた。

クック諸島はニュージーランドの北東約3000km、フィジーとタヒチの間に位置し、15の島々よりなる観光立国。面積は約237平方km(鹿児島県徳之島とほぼ同じ)で、首都アバルアがあるラロトンガ島は「太平洋の真珠」と呼ばれ、広大な白い砂浜が広がっている。ニュージーランドとは自由連合の関係にあり、クック諸島の防衛などはニュージーランドが担っている。

ヘンリー・プナ首相

(Hon Henry Puna)1949年7月29日生まれ、61歳。
クック諸島政府への首席法律アドバイザーとして法制局法務官を務めた後、貿易・労働・運輸省次官、観光・運輸省次官などを歴任。真珠養殖業にも永年携わり、2005年に国会議員に初当選すると、2010年11月にクック諸島首相に就任。現在に至る。

太平洋諸島センター

(Pacific Islands Centre,略称PIC)
日本と太平洋諸島フォーラム(PIF)に加盟する島嶼国(13カ国1地域)との貿易・投資・観光の促進を図る国際機関。1996年10月に設立され、現在は明治大学駿河台キャンパス内(紫紺館1階)に事務所を設置している。