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国際日本学部 三田紀房氏招き講演「マンガと生きる力」

マンガの持つ力について力説した三田氏

国際日本学部は6月11日、校友で漫画家の三田紀房氏(1981年政治経済学部卒、代表作『ドラゴン桜』他多数)を招き、「マンガと生きる力」をテーマとした特別講演会を駿河台キャンパス・リバティホールで行った。会場には学生・教職員・一般等の約350人がつめかけた。

第1部の三田氏による「マンガと生きる力」講演では、明治大学在学中のエピソードをはじめ、同氏初の長編連載作品『クロカン』(日本文芸社)がヒットするまでの経緯が語られた。また、体育会剣道部での思い出や自身の就業体験、家業手伝いを経て賞金目当てにマンガを描きはじめたことなどをユーモラスな語り口で紹介。プロマンガ家としてのスタートも「注文に応じて描いていくタイプ」と、ビジネスライクな姿勢が出版社側から重宝がられたのだろうと自らを振り返った。

『クロカン』の連載・ヒットの過程で、作家として使われる立場から独り立ちできるようになったこと、マンガはどのように作られるのかなど話題は尽きず、最後に、「岩手県北上市の出身者として、『努力・友情・勝利』といったメッセージの込められたマンガが子供から大人まで幅広く読まれていることが、東日本大震災からの復興を目指す日本人に、頑張る力を与えているのではないか」とマンガの持つ力が示唆された。

第2部のトークセッションは、国際日本学部の宮本大人准教授のコーディネートのもと、同学部の藤本由香里准教授、森川嘉一郎准教授と三田氏をパネリストに進行した。宮本准教授が三田氏の表現スタイルの形成や変遷について分析、さらに森川准教授が三田氏の最新作「砂の栄冠」を近年のヒット・コンテンツに見られる「黒い作品/白い作品」と比較した問題提起に、三田氏は軽妙なコメントで会場を沸かせた。ほかにも編集者とのやり取り、マンガ制作の技術論、世相についての考え方など、作品からだけでは分からない具体的な議論が展開され、参加者はマンガ制作の舞台裏に興味深く聴き入っていた。