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法学部 夏期短期集中法学講座 Meiji University Law in Japan Program

日本国憲法の講義に真剣に聞き入る受講生 フィールドトリップで訪れた事務所内にはリハーサル用の模擬法廷も(大手法律事務所)

法学部は7月21日から8月3日まで、日本の法と法制度について英語で授業を行う夏期短期集中講座 「Meiji University Law in Japan Program」を開講した。このプログラムは、明治大学が国際化拠点整備事業(グローバル30)の一翼を担う国際的な教育機関として発展していくための 新しい教育プログラムのひとつとして2009年に計画され、今回で3度目の開催となった。今年度のプログラムは、独立行政法人日本学生支援機構による短期 留学受け入れ支援制度「平成23年度留学生交流支援制度(ショートステイ)」に採択された。

本プログラムも、東日本大震災の影響を少なからず受ける形となり、震災前に申し込みをした7人のうち6人が次々とキャンセルした(残る1人も開催直前ま で態度を保留)。4月上旬、再び参加申し込みが入るようになり、カナダ、イギリス、オランダ、ドイツ、フランスといった欧米諸国出身の外国人7人が参加し た。さらに帰国子女や海外生活が長い日本人などが参加し、2011年度の受講生は総勢11人となった。結果的に、国籍を問わず日本在住者からの申し込みが 多数を占めるというやや変則的な形となった。これに対し、7人の法学部教員を含む10人の講師陣が全ての授業とフィールドトリップを英語で行った。

2週間のプログラムでは、憲法、刑法、刑事司法手続、民事司法手続、家族法、会社法、経済法、租税法、IT法や国際法など多様な法分野についての現代的 な諸問題を取り上げた。加えて、明治時代以降の司法制度の発展や法曹制度等も扱うことにより、受講生が現代日本の法と法制度の特徴を社会的、文化的、歴史 的な文脈のなかで理解できるようなカリキュラムが組まれた。毎年、さまざまなレベルの法知識や関心、出身背景をもつ受講生が参加するが、授業で提供される 法分野・テーマ等の基礎的な部分について、よく網羅されているとの評価を得ており、学ぶ側のニーズに対応したプログラムとなっている。

また、授業で学んだ知識をより具体的かつ豊かなものとするために、最高裁判所、地方裁判所や簡易裁判所、法律事務所、刑務所、国会などへのフィールドト リップも行った。フィールドトリップ先では、受講生が日本の法を司法、立法、行政の実務の「現場」においてその理解を深められるよう、訪問先担当者による レクチャーや、引率教員による解説が行われた。受講生からは「ふだん中々行けない施設を見学できるのはすばらしい」、「よくコーディネートされていた」と いった感想が聞かれた。とりわけ、今年度より新たに加えた東京入国管理局成田空港支局、そして昨年度も受講生の満足度が非常に高かった横浜刑務所への訪問 は外国人とのかかわりも深いことから、非常に熱心な質問や発言が相次いだ。

外国人が日本法を学ぶ足がかりに

このプログラムは日本の法に興味・関心があるものの、言語の問題から日本法を学ぶことが難しい外国人に、日本法を学ぶ最初のきっかけを与えることを目的 としている。そのため、これまで法律を学んだことのない初学者も歓迎しており、日本における法とそれをめぐる諸制度の全体像を把握することを目標としてい る。

受講者アンケートでは昨年に引き続き、「受講を機に、(自国あるいは日本で)法律を専門的に学びたい」という回答が寄せられた。今後は同プログラムを通 じて日本法を学んだ受講生や、日本法をより専門的に学びたいと考えている外国人に対して、学部・大学院において、外国語で日本法を学ぶ機会を提供すること が、プログラムの改善、発展とあわせて喫緊の課題である。