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論壇 世界のトップスクールを 視野に入れた研究・教育展開 —新たな段階に入った明治大学の研究活動— 副学長(研究担当) 坂本 恒夫

明治大学研究知財戦略機構と日本経営分析学会は、本年6月19日、『ポスト株主価値経営と経営分析-新たな経営原理と企業評価-』と題したシンポジュームを共同で開催しました。この中で、ハーバード・ビジネス・スクールのジェフェリージョンズ教授は特別講演を行い、<シェアードバリュー(共通価値)>という新たな経営原理を紹介しながら、明治大学のこの分野での研究レベルの高さに敬意を示しました。

本学の研究知財戦略機構は、世界的水準のプロジェクト研究を推進することを目的として積極的活動を展開しています。具体的な成果としては2007年度グローバルCOEプログラムに採択された「現象数理学の形成と発展」、ブタをプラットホームとした多様な研究によって未来の医療を実現化する「バイオリソー ス研究」、日本列島の文明化を資源という視点から解明する「日本古代学研究」、知的財産教育の高度化・組織化を目指す「知的財産法制研究」など枚挙にいとまがありません。また、黒曜石を含む多様な資源に対する人類の働きかけに関する研究を進める附属研究施設「黒耀石研究センター」、食の安全安心と安定供給の確保を目指す附属研究施設「植物工場基盤技術研究センター」も、世界の研究者から強い関心を寄せられています。

こうした研究実績を基礎に、本機構は、グローバルな観点から将来を見据え、国際的な諸問題に取り組む戦略拠点として2011年4月に附属研究機関として「国際総合研究所」を設置しました。ここでは平和研究、環境問題、生物多様性、地域問題など新たな研究課題に取り組みますが、世界でもトップ水準の研究者が結集しつつあります。現在C地区に建設中の「研究ラボタワー」を舞台に、研究・政策の情報発信・研究交流を展開します。 

研究者との交流だけではありません。明治大学地域連携センターの協力を得て高校生・中学生の学習支援も強化しています。例えば、黒耀石研究をする長野県長和町の中学生を1日明大生として招待し、その研究活動を啓発します。地域活性化に取り組む山梨県道志村の中学生を招待し、クレソン販売の学習活動を支援します。

いま大学は研究・教育活動にのみ取り組んでいるだけで許されません。特に東日本大震災以降は、<大学は社会に何をするかが>問われているのです。3・11の大震災で大学が防災拠点であることが求められたように、深刻な課題を抱える世界のイノベーション拠点になることがこれからの大学の使命なのです。

(経営学部教授)