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依然強い余震の懸念を払拭できず、また放射能の長期にわたる影響が心配されるにもかかわらず、3月11日以降、日本全体を混乱と不安に陥らせた震災による動揺はようやく落ち着きを取り戻しつつある。明治大学も夏休みが明け後期に入って、卒業式・入学式の中止、授業回数の圧縮という緊急の非常シフトから脱し正常化へと向かいつつある。

だが、今回の震災がわれわれに投げかけた課題は非常に大きい。震災への対応の過程で端なくも明らかになったのは、権威の空洞化である。それまで信頼していた政府やアカデミズムやマスメディアという既存の権威が〝張り子の虎〟に過ぎなかったことが満天下に暴露されてしまった。危機管理は機能せず、情報は錯綜し、〝御用学者〟が跋扈する。

われわれ大学人にも震災は問題を突きつけた。学問とは、そして教育とはそもそも何なのか、という根源的な問題である。われわれは日常の忙しさにかまけて、本来であれば不断に問い直し、日常の活動の根拠にしなければならない問題をこれまでないがしろにしてきたのではないか?筆者も含めて猛省が求められる。