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因幡・パリ・東京を駆け抜けた法学者 「岸本辰雄の夢」講座を実施

鳥取県の進学相談会に参加した高校生の姿も見られた

明治大学は10月22日、鳥取市とりぎん文化会館でリバティアカデミー公開講座「因幡・パリ・東京を駆け抜 けた法学者 岸本辰雄の夢」を実施した。この講座は、明治大学創立130周年を記念する事業として、創立者の一人であり鳥取県出身の岸本辰雄先生の功績を 顕彰することを目的とするもの。鳥取県、鳥取市、明治大学校友会鳥取県支部、明治大学鳥取県父母会の後援を得て実施された。

講座開講に先立ち、福宮賢一副学長(社会連携機構長・商学部教授)、藤井喜臣鳥取県副知事よりあいさつがあり、講師の村上一博法学部教授の祖父が、鳥取藩の下級武士であり、岸本辰雄先生の同僚であったかもという奇縁が紹介された。

講座は近代日本の法体系や法学教育に大きく貢献した岸本先生の生涯を辿り、その人物像に迫った。岸本先生は明治3年(1870年)に鳥取藩の貢進生に選 ばれ、大学南校、司法省明法寮においてフランス法を学び、その後フランスに留学する。パリ大学法学部の学籍簿によると、一度の失敗もなく試験を突破、明治 12年(1879年)に法学士を取得して、翌年に帰国する。

明治14年(1881年)1月に宮城浩蔵先生、矢代操先生とともに明治法律学校を開校するが、官吏として活動しながらの学校経営であり、資金のやりくりに苦慮するなかで、旧鳥取藩主の池田輝知より資金援助を受けるなど、明治大学と鳥取の深いつながりを強調された。

創立者3人が学校設立を志したのは、ボアソナードの「法学の普及こそが諸君の天職であり、使命である」とする言葉が有名であるが、岸本先生の「国民の権 利意識を高めることが必要である」という高い志と学問の自由は官学からは生まれないという気概を紹介し、岸本先生は日本の近代法学を代表するひとりである と強調した。