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本棚 「明治大学小史(人物編)」 明治大学史資料センター編 著 (学文社、2,415円)



大学の個性がとわれる時代である。個性は内側にあって歴史のなかで育まれる。明治大学は、その個性が社会的な評価をうけるようになった。「都心」に位置して、建物がおしゃれ、というような外面的な評価だけではない。130年の歴史と伝統が新しい評価をうけているのである。

本書は、創立130年を記念して、昨年に刊行された通史編である『明治大学小史(〈個〉を強くする大学130年)』の姉妹編として、大学史資料センターの編集により刊行された。同時に、通史編の英語版をはじめとする4種類の外国語版も刊行されている。

構成は10章からなる。「創立期の人びと」に始まり、大学行政・アカデミズム・法曹・政治・財界・作家・芸能文化・スポーツの世界で活躍した人物たちに及び、全体で119名がとりあげられている。とりわけ、「アジア人留学生」の項目を設けたところは新鮮である。「人物」をとおして明治大学の歴史と個性をしることができる。と同時に、思わぬ人物を発見し、新しい明治大学との出会いが生まれることが期待される。

山泉進・副学長(法学部教授)