本棚 「都市へのテクスト/ディスクールの地図」 ポストグローバル化社会の都市と空間 後藤伸一 著 (建築資料研究社、2,500円)



「ここにある都市とは、そしてそれにかかわる自らの存在や都市的生活様式とはどのようなものなのか?」という問いかけが本書の起点である。混迷の時代へ突き進む現代にあって、過去100年以上にわたるさまざまな先人の都市の言説 (ディスクール)を取り上げ、将来にわたって「人が住み続けることのできる都市」の真の姿とは何なのかを探る。そのため、都市の歴史に始まり、後期近代と位置づけられる現在にあっては、都市は幼年期でしかないと捉え、来るべきポストグローバル化の都市を一つの究極の姿と考える。その論考(テクスト)そのものが新たな都市論の展開となっている。さらに「理想都市」など8つのキーワードをイメージ言語として抽出し、最後の章では特徴的な都市「ベニス」、「シカゴ」、「東京」の都市や空間を例示して、人が住むための都市への再生の可能性について言及している。著者は建築家だが、都市や建築に関する多様、多量の情報によって、社会学から、都市政策、芸術論まで、多面的な都市への興味に応える内容となっている。

市川宏雄・専門職大学院ガバナンス研究科教授(政治経済学部兼籍)

(著書は政治経済学部兼任講師)

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