本棚 「陸軍登戸研究所と謀略戦 科学者たちの戦争」 渡辺賢二 著 (吉川弘文館、1,785円)



本学生田キャンパスは、旧日本陸軍の登戸研究所の跡地に立地している。登戸研究所は、秘密戦(防諜・諜報・謀略・宣伝)のための兵器・資材を開発していた特殊な機関で、1944年には約1000人の所員を擁していた。ここでは、電波兵器・風船爆弾・暗殺用毒物・生物兵器・スパイ用品・偽札などが研究・開発されていた。この研究所に関する文書資料は敗戦時に陸軍中央の命令によって徹底的に焼却され、関係者も戦後、固く口を閉ざしてきた。著者は、ひとたび歴史の闇の中に消えかかった日本陸軍の秘密戦の真実を、市民・高校生たちとともに四半世紀にわたって発掘・解明してきたパイオニアである。

本書は、科学者に焦点をあて、戦争によって真面目な研究者たちが倫理観を喪失してしまう様をあますところなく描いている。

2010年3月に明治大学は、登戸研究所時代の建物(36号棟)を保存・活用して平和教育登戸研究所資料館を設立したが、それも著者の研究成果と助言がなければ実現しなかったものである。

山田朗・平和教育登戸研究所資料館長、文学部教授
(著者は文学部兼任講師)

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