本棚 「日本経済の再設計」 マリー・アンチョルドギー著 安部悦生・内田金生・山下充 監訳



本書は、マリー・アンチョルドギー氏が2005年に出版したReprogramming Japan: The High-Tech Crisis under Communitarian Capitalismの訳書である。本書で著者が論じている内容は大まかにいえば、以下の2点である。(1)日本の資本主義がアメリカなど、市場原理を最優先するシステムとは異なり、「共同体」の利益を最優先する仕組みであり、それが西欧へのキャッチアップの段階ではきわめて有効に働いたものの、(2)逆に90年代以降は、それが変化、変革への足かせとして働くようになり、現在の長期の不況、デフレ期を迎えることとなったというものである。

本書の特徴は、地域・国家ごとの資本主義の発展形態を「理論的」に措定しようとする方法を採用しながらも、それを電信電話、電気通信、コンピュータなどの産業部門ごとに検証する「実証的」部分を併せ持つ点である。太平洋をはさみ、真摯に日本経済を観察し、日本が一日も早く立ち直る日を心待ちにしてくださるアンチョルドギー氏に日本の読者を代表して敬意をはらうとともに、本書をいちはやく邦訳していただいた監訳者たちに心から御礼を申し上げたい。

若林幸男・商学部教授
(監訳者は順に経営学部教授、商学部兼任講師、経営学部准教授)

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