本棚『朝彦親王伝 維新史を動かした皇魁』徳田 武 著(勉誠出版、4800円)



7月の京都は、17日の山鉾巡行でクライマックスを迎える祇園祭で賑わうが、その山の一つに、一条堀川で父の葬列に逢い悲歎のうちに祈祷したところ父が蘇生して葬列が逆戻りした(その橋を「戻橋」と呼ぶ)という伝説の主人公、浄蔵貴所の人形を頂く「山伏山」がある。

この山を擁する山伏山町—中京区室町通蛸薬師下ル(錦小路上ル)—にあった、並河丹波介尚美(伏見宮家に仕えた医師)の邸に、文政7(1824)年1月28日、伏見宮貞敬親王の第四子として、男の子が生まれた。幼名は熊千代、天保7年8月に仁孝天皇の養子となり、翌8年12月に親王宣下を賜った、のちの朝彦親王である。

親王は、いわゆる公武合体派公卿の代表格として知られているが、徳田教授は、難解な親王の日記や、関連する幕末維新史料を読み込んで、親王の人格形成過程を追い、義弟にあたる孝明天皇との心情の襞にまで分け入りながら、維新史を動かした親王の複雑かつ大胆な行動の軌跡を鮮やかに解き明かしている。

村上一博・法学部教授(著者も法学部教授)

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