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福島県新地町「復興団地計画懇談会」 明大生ボランティアが運営を支援

懇談会の会場設営、受付、意見の記録と発表をお手伝い 豊かな海を取り戻すために、ビーチクリーン活動

文学部の平山満紀ゼミナールの学生グループは、7月11、12日の両日および同18~20日の3日間、計5日間にわたり福島県新地町で行われた「新たな住宅団地計画懇談会」にボランティアとして参加し、その運営を支援した。

これは、本年1月26日に東日本大震災以後の地域復興で協働することを目的に本学と新地町とで締結された「福島県新地町と明治大学との震災復興に関する協定書」に基づき行われたもの。福島県新地町は、人口約8000人の福島県最北部の太平洋岸の町で、東日本大震災では、沿岸部のみならずJR常磐線新地駅周辺の市街地まで津波による被害を受け、町内には仮設住宅が点在している地域。

今回の懇談会(ワークショップ)は、被災して現在仮設住宅に入居している方などの移転先として、高台の住宅街が建築予定だが、その街の設計に、住民自身が計画段階からかかわるのが目的で行われた。移転予定の方々が小グループに分かれて、住宅街の道路や集会所の位置など、新しい街のあり方について意見を出し合った。

学生ボランティアたちの役目は、会場設営、受付、意見の記録、最後に小グループの意見を会場の参加者全体の前で発表することなど。普段のゼミなどで討論や発表には慣れている学生たちは、初対面の住民たちの話し合いをよく理解して記録し、わかりやすく堂々と発表した。

また、ワークショップに先立ち学生たちは、町長をはじめ関係者へのごあいさつをし、その後、復興支援課の方々の案内で町内の被災状況を見学させてもらった。海沿いの住宅街は跡かたもなく、学生たちは胸の詰まる思いをした。美しかった海水浴場は地盤沈下で地形も変わり、浜には大小の瓦礫が積り、きれいにするには大変な努力が必要だと感じさせられた。海沿いの田畑も、ヘドロと瓦礫で埋まり塩害も受けて、耕作地に戻すにはそれらを一つひとつ取り除くなど、人手をかけなければならない。

学生たちは、ワークショップ以外の時間を利用してビーチクリーン活動を行った。ご自身も海辺に住んでいて被災した方が案内をしてくださった。ビーチクリーン活動の合間には、「新地町の海は、海釣りやサーフィンもできる豊かな海だった。今も海を見たくない、海に近づけないという人は多い」と辛い体験を話してくれた。

この活動で、学生と新地町の方たちの距離はぐんと縮まった。町の方たちは明大の意欲を理解されたし、学生たちにも得るものの多い活動だった。8月以降も、本学の学生たちは新地町でのボランティア活動を行う予定だ。

(平山満紀・文学部准教授)