本棚『「哲学的人間学」への七つの視角』 山口 泰司 著(文化書房博文社、12,000円)



本書は、著者の構想する「哲学的人間学」の骨格を「人間的無意識の無限のスペクトル」という概念を鍵に800頁もの紙幅を費やして浮き彫りにしようとする、綿密かつ野心的な「人間探究の書」である。ここでは、人間的無意識のごく浅い層から最深の層にまで至る諸相が、著者の人間理解を支える7つの学際的視角から照射されて、人間的無意識に潜む個人的意識をはじめ、超個人的・超人間的な意識の諸相が順に解明されていく。

ここで選ばれている人間探究の視角は、1現象学的存在論(メルロ・ポンテイ論)、2精神病理学(エーの器質力動論、フェアベーンの対象関係論)、3科学哲学(デネットの認知哲学および生物進化の哲学)、4芸術論(近代イギリス音楽にみられる霊的ロマンテイシズム)、5宗教哲学(近代ヴェーダーンタ哲学の巨匠オーロピンドの霊的進化の哲学)、6最先端科学哲学(ラズロの量子真空仮説に基づく汎心論的宇宙進化の哲学)、7超宗教的啓示哲学(クリシュナナンダによる革新的ヴェーダーンタの霊的科学哲学)と、驚くほど多様であり、ここでは、宗教と科学の真の統合が目指されている。

大崎博・文学部兼任講師(著者は文学部教授)

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