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福島県新地町 多くを学んだ学生ボランティア





家族らを待つ、かけがえのない思い出「絆」の数々 子供たちとはすぐに打ち解けた学習支援

学部間共通総合講座「東日本大震災に伴うボランティア実習」履修学生14人と商学部の鳥居高ゼミナール有志5人の計19人は、8月10日~14日の5日間、福島県新地町で東日本大震災による被災地復興支援を目的とした学生ボランティア活動を行った。

これは、本年1月に新地町と明治大学が締結した「新地町と明治大学との震災復興に関する協定書」に基づくもので、新地町役場の協力を得て、町が必要としているボランティア活動を、協議・調整のうえで実施したもの。前半(8月10日~12日)は文学部の松橋公治教授が、後半(12日~14日)は鳥居が引率した。なお、東北再生支援プラットホームの中林啓修事務局員は、全日程を学生とともに活動した。

具体的な活動内容は、(1)「明大生のお兄さん、お姉さんと勉強しよう」と銘打った学習支援、(2)「思い出倉庫」と名付けられたもので、津波によって流された写真、家財、その他、倉庫に保管されている品々を町民に返却する活動、(3)図書館での寄贈本の整理や閉架書庫の整理など、多岐にわたるものだった。さらに前半日程では、文学部の平山満紀ゼミナールとともにビーチクリーン作業も行った。

学習支援は、連日10人以上の小中学生が集まり、夏休みの自由研究や、九九の計算など、子どもたちが必要としている事柄に、1対1で「一緒に」学ぶことができた。最初は恥ずかしがっていた子どもたちも次第に学生と打ち解け、短時間ながら本当の兄弟・姉妹のように親しくなった。

思い出倉庫は、5000枚以上の写真のほか、卒業証書やアルバム、さまざまな置物など、町民の皆さんの人生とともに歩んできた「思い出の品」がたくさん保管されている。当日展示会場を訪れた被災者は、データベースや写真の現物を丹念に探され、「兄の写真だ」と言って、ご家族との写真での再会に涙ぐまれていた。学生たちにとっても、家族やその絆の重みをあらためて目の当たりにした瞬間だった。

学生たちは、ボランティア活動中に町民の方から3月11日の震災当日の様子や、ここ1年半余りの復興状況について直接話を聞いて、今一度、東日本大震災の復興について考える貴重な機会となった。(鳥居高・商学部教授)