Go Forward

文科省公募プログラムに採択されて

次代を拓く、新たな扉を開くとき

学長 福宮 賢一

このたび、文部科学省が公募する「国公私立大学を通じた大学教育改革の支援」のプログラムに本学から申請した以下3件の取り組みが採択されました。

いずれのプログラムも、グローバル化社会において求められる人材として、深い専門知識に裏付けられた論理的思考力と、異文化理解や人類愛への共感に支えられた豊かな教養とを備え、未来開拓力のある学生を育成することを目指すものです。

本学は、2009年に国際化拠点整備事業(グローバル30)の採択を受けて以降、急速に国際化を進展させてきました。2009年度末と2011年度末の各指標を比較すると、外国人留学生の受け入れ数は874人から1202人に、本学学生の海外大学への派遣者数は372人から664人に、そして海外大学との協定は118校から171校、今日現在で200校ほどを数えるまでになりました。この成果を発展的に継承し、質的な飛躍を実現することが、私の使命であると考えています。

今回採択された3件の取り組みは、私たちが次に開くべき「新たな扉」です。失敗を恐れず、躊躇や逡巡から決別して、より高い目標に向かって一歩を踏み出すことが次代を拓くものと確信します。

学生の皆さんは、明治大学がサポートするカリキュラムやプログラムを活用して、強くしなやかな「個」を養い、夢の実現を目指してください。本学教職員の皆さんは、本学の使命である「世界へ —「個」を強め、世界をつなぎ、未来へ —」を実現するべく、共に新たな地平を切り拓いていきましょう。そして、校友、父母および本学の教育研究活動にご協力いただいている皆さまには、本学の前進と発展に、更なるご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

国際機関等との連携による“国際協力人材”育成プログラム

取組責任者 副学長 長尾 進(国際日本学部教授)

大学間連携共同教育推進事業に申請していた、明治大学・立教大学・国際大学による取り組み「国際機関等との連携による“国際協力人材”育成プログラム」が採択された。この事業には、全国の国公私立大学等から153件の申請があり採択は49件だった。

採択されたプログラムは、国際公務(国連職員等)へのキャリア・パス形成を頂点とし、国際社会が協調して取り組むべき課題(グローバルイシュー)について、国際社会が標準としている諸規範ならびにこれを所管する国際諸機構を目的達成の手段として活用できる人材および新たな理念形成に参画しうる人材の育成を目指すもの。

国際協力機関の協力の下、国際協力・国際公務への志向を持つ学部生の多い明治大学および立大と、国際社会で活躍する高度な専門的知識を持った職業人の育成を企図する大学院大学である国際大が協働し、明治大学および立大の学士課程教育において、全て英語により展開する共同教育プログラムを構築する。

また、国際大の大学院科目の履修を可能とし、国際協力・国際公務分野へ巣立つ人材候補のためのモチベーション・パス、キャリア・パスとする。共同教育プログラムの修了者には修了証明書を発行し、国際協力人材の育成について質保証を連携機関と協働で行う「国際協力人材育成ネットワーク」を形成する。

世界中の人々と「平和と豊かさ」を共有し、共生するには、専門知識や語学のみならず、異文化理解や人類愛への共感など、豊かな教養に裏打ちされた「人間力」が必要です。

3大学はそれぞれの理念と校風を持ち、日本全国、世界各地から、さまざまな価値観を持った学生が集まっています。本取り組みを通じて、新たに出会う友人との交流は、皆さんの学生生活を豊かにします。旺盛な好奇心を持って、多くを学んでください。

日本ASEANリテラシーを重視した実務型リーダー育成プログラム

取組責任者 副学長 勝 悦子(政治経済学部教授)

大学の世界展開力強化事業~ASEAN諸国等との大学間交流形成支援~に申請していた「日本ASEANリテラシーを重視した実務型リーダー育成プログラム」が採択された。この事業には、全国の国公私立大学等から71件の申請があり採択は14件だった。

採択されたプログラムは、本学の人材育成の理念に基づき、将来、多くの実務分野においてたくましい「現場力」を持って、日本と東南アジアのリテラシーを有した、国・地域を跨いだ架け橋となりうる日本ASEAN実務型リーダーを、日本とASEAN諸国の双方に育成することを目的とするもの。

ASEAN大学連合(AUN)加盟校を中心とする16大学と、質保証を重視して、単位相互認証を伴う短期プログラム、交換留学、ツイニング・ダブルディグリープログラムなどの共同教育プログラムを多層的に実施する国際共同教育コンソーシアムを形成し、日本人学生とASEAN側学生の双方に相手国の言語、文化、商習慣等の理解を促す日本ASEANリテラシーを重視した教育を行う。

また、タイ国バンコクに本学のASEANサテライトキャンパスを設置し、ASEAN側学生への渡日前日本語教育や遠隔講義、日本人学生と現地学生の間での日本語・日本文化交流(SENDプログラム)や企業・NGOでのインターンなど各種プログラムを実施し、ASEAN側学生のみならず、日本側から本学以外の他大学学生にも広く参加を呼びかけ、日本およびASEAN側の幅広い学生達に対して共に学ぶ機会を提供する。

これらの長短期プログラムを通じて、5年間で、日本人学生の送り出しおよびASEAN側学生の受け入れで合計1000人の交流を目指す。

アジアは世界の成長センターであり、日本にとって、政治的にも経済的にも最も重要な地域となっています。なかでもASEANは、2015年にASEAN共同体成立を目指しており、域内の人、財、サービス、資本の移動が自由になる共同市場になることが見込まれています。

タイバンコクに本学がASEANキャンパスを設立し、当該センターを中心に、AUNに加盟するASEANのトップスクール16校と学生交流、日本語教育を行う今般の本構想は、本学学生のASEANリテラシーを向上させるだけでなく、グローバル人材としての資質を高め、さらに日本とASEANの関係強化にも寄与するものになることが期待されます。

グローバル人材育成推進事業

取組責任者 副学長 勝 悦子(政治経済学部教授)

グローバル人材育成推進事業(タイプB:特色型)に申請していた、政治経済学部を中心とした取り組みが採択された。若い世代の「内向き志向」を克服し、国際的な産業競争力の向上や国と国の絆の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図るべく、大学教育のグローバル化を目的とした体制整備を推進する事業には、全国の国公私立大学等から111件の申請があり採択は31件だった。

採択された事業は、「個を強くする」という本学の教育理念の下、内閣総理大臣をはじめとした世界の政治・経済のリーダーを輩出し、学内においても国際化を先導してきた政治経済学部(大六野耕作学部長)が、『「強い個」をベースとした“Empowered Public”創成人材』の育成と輩出を目的として取り組むもの。

この『「強い個」をベースとした“Empowered Public”創成人材』という政治経済学部の育成する人材像は、第1に、本学を先導する学部として、本学の教学の理念の柱であり、建学の精神である「強い個」を持った人材、第2に、異文化への鋭い感受性と理解力を備えた人材、第3に、高い使命感と倫理観を有する人材、第4に、専門性と実践的な課題発見・解決能力を有する人材、第5に、高い語学能力とコミュニケーション能力を有する人材と設定する。

このような人材を育成するために、政治経済学部における既存の取り組みを拡充させると同時に、本事業において新たな取り組みを実施する。

本学は、政治経済学部における取り組みを大学全体に裨益させることにより、自立した個を有しつつも他者への理解・共感を備え、高い専門能力とコミュニケーション能力により世界に貢献する「グローバル公共人材」育成の拠点となることを目指す。 

政治経済学部の構想は、「世界の公共空間」で活躍する強い個を育成することを目的としており、まさに現在の日本に必要不可欠な人材育成の構想であると言えます。政治経済学部は現在まで多くの国際学術交流の実績があり、また当該構想の意欲的な目標が高く評価されました。政治経済学部の構想が本学の教育国際化のフロントランナーとして、またグッドプラクティスとして、大学全体にその便益が広がることが期待されています。