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研究・知財戦略機構 「ガスハイドレート」研究成果を発表

慎重な研究が必要との姿勢を示しながらも新エネルギーの期待が膨らむ会見を行った松本特任教授 「燃える氷」とも言われるガスハイドレート

明治大学研究・知財戦略機構などは10月29日、「日本海とオホーツク海におけるガスハイドレートの分布に関する最新の調査結果」について、共同記者会見を駿河台キャンパスで開催。日本海とオホーツク海の広い海域で、新たなエネルギー資源としての可能性を秘めた「ガスハイドレート」の回収に成功したことを明らかにした。

「ガスハイドレート」とは、メタンやエタンなどの炭化水素ガスと水分子がつくる氷状の固体物質のことで、メタンと水から成るものが多いため、日本では「メタンハイドレート」と呼ばれることが多い。火をつけると燃焼するため「燃える氷」とも言われ、発電や都市ガスに利用できる新たなエネルギー資源として注目されている。

会見には、研究・知財戦略機構の特定課題研究ユニット「ガスハイドレート研究所」代表者の松本良特任教授や、山本昌弘研究担当副学長のほか、同研究所を中心に「表層ガスハイドレート研究コンソーシアム」を形成する北見工業大学や東京大学の関係者らが出席。会見場には、約20社・40人の報道陣が詰めかけた。

会見で松本特任教授は、2011~2012年に日本海とオホーツク海で行った総合的学術調査の結果、日本海東縁(最上トラフ)と北海道網走沖で、表層堆積物中からガスハイドレートの回収に成功したことを発表。さらに、これら2海域と日本海南西縁(島根・鳥取・兵庫沖)において、ガスハイドレートの集積を示唆するガスチムニー(ガスの移動通路)やメタンプルーム(メタンガスの気泡)が確認されたことも明らかにし、「学術的にも、資源探査の上でも極めて重要な意味を持つ」との見解を示した。

一方で、松本特任教授は「資源量を見積もるだけのデータがまだ得られていないため、現時点では資源としてのポテンシャルは未知であり、資源になり得るという判断は早計。今後の調査で地道に基礎的なデータを積み上げて、日本周辺でのガスハイドレートの分布状況を明らかにする必要がある」とも述べ、新エネルギー源となり得る可能性については慎重な姿勢を示した。

会見場では、実際に採取に成功したガスハイドレートの現物が報道陣に公開されたほか、点火され勢いよく燃焼するガスハイドレートの映像なども披露された。