世界で活躍する強い「個」を

理事 針谷 敏夫

昨年3月11日に発生し未曾有の被害を生んだ東日本大震災からはや1年9カ月がすぎようとしています。しかし、被災地の復興は遅々として進まず、まだまだ先が見えない状況にあります。国難と言われる状況下において、一刻も早い復興を実現するためには休んでいる時間はありませんが、復興予算の使い方に疑問が出る中、衆議院は解散し政治の空白期間が生じてしまいました。財政赤字が膨張し、歳入が滞る中で政治は混乱し、将来に不安を感じる若者は少なくありません。

高等教育機関には少子高齢化の中でグローバル人材の育成が求められるとともに、質の保証が謳われ、ますます外部評価の厳しい時代に入っています。グローバル化が進み、他国の危機が自国に波及することがさけられない時代となり、未来が混沌としたなかで、大学として次代を背負う若者にどのような教育を行っているのかが問われる時代であります。

このような中、明治大学は昨年創立130周年を迎え「学校法人明治大学長期ビジョン」を制定しました。長期ビジョンは、将来にわたり、本学が「新しい知の創造」および「時代の要請に応える人材の育成」の拠点であり続けるとともに、世界に大きく飛翔していくため、現在に至るまでの明治大学の強みと弱みおよび可能性を見極め、創立150周年を見据えつつ、当面する今後10年間の強化の方向性および理念について定めたもので、ホームページで公開しています。

本年4月に発足した現理事会は、この前理事会のもとで制定された長期ビジョンの具現化を推進することが最大のミッションであることはいうまでもありません。教育・研究・社会貢献を柱とし国際連携を推進し世界標準の大学に発展させていくことが、明治大学を100年後も持続可能な大学として存続させるものであることは明白なことです。これからの若者は否応無しに世界の荒波にもまれて行きます。その中でもくじけることのない、世界で活躍する強く輝く「個」を育てなければなりません。

しかし、この長期ビジョンをあらためて見直すと、大きな課題として防災に対する視点が不足しています。近い将来、首都直下地震の襲来が現実のものとして取り上げられ、早急な対策が叫ばれています。昨年の震災以来防災意識は高まっていますが、本学の具体的な対策はまだ不完全な状態です。各キャンパスにおいて避難マニュアルの整備が進んでいますが、とくに高層建築を抱える駿河台キャンパスは避難場所も狭隘であり、学生の安全を最優先に、適切な対策を講じておく必要があります。

天災は忘れた頃にやってくるという言葉がありますが、いつどこで災害に遭遇するかわからない状況下で教職員、学生すべての個々人の防災意識を常に高めておくことが重要です。自助を確立すること、常に防災意識を持ち、高い危機管理能力を備えることこそ、世界のどこにいても災害や危険に遭遇した際適切な対応が可能であるといえます。逆境に立ち向かい、それを克服できるとともに被災者に対する心遣いを併せ持った、強い「個」を持つグローバル人材を育てる大学でありたいと思います。

(農学部教授)

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