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黒川農場で初の収穫祭 ガイドツアーや農産品販売に1380人が来場

初めて一般公開された「自然生態園」のガイドツアー 「めいじろう」は子供たちの人気者に 黒川農場産の野菜販売コーナーは黒山の人だかり

「環境・自然・地域との共生」をコンセプトに、今年4月にオープンした明治大学黒川農場(川崎市麻生区)で11月10日、初の収穫祭が開催された。快晴の下、市民ら1380人が来場し、各施設のガイドツアーや農場で収穫された新鮮な野菜の直売など、多彩な催しを楽しんだ。

黒川農場は、豊かな自然を最大限に活かした総面積約12万8000m2の敷地に、先端技術を駆使した生産効率の高い栽培システムと、有機農法をはじめとする環境保全型システムを併せ持った「未来型アグリエコファーム」で、地域と大学の連携による多目的な“都市型農場”を目指している。

この日の収穫祭では、里山の動植物の生態が観察できる「自然生態園」を初めて一般公開するガイドツアーや、最先端の「生産・研究エリア」のガイドツアーのほか、周囲の里山の間伐材を使ったバイオマス燃料(木製ペレット)の利用体験コーナーなどを通じて、黒川農場の取り組みを広く市民に紹介した。

レタス・大根・人参など黒川農場産の野菜直売コーナーや、川崎市農業振興センターとJAセレサ川崎の連携事業による「なしジャム」の試食コーナー、「ふるさとの生活技術指導士の会」によるとん汁の無料配布コーナーなどには、長蛇の列ができた。

会場には、明治大学の公式キャラクター「めいじろう」も登場し、子供たちの人気者に。来場した市民や家族連れは、自然に囲まれた農場での休日を満喫していた。

黒川農場OPEN記念講座「台所から世界が見える!」同日開催

多数の市民が受講した

収穫祭との同日開催で、明治大学リバティアカデミーは黒川農場OPEN記念講座「台所から世界が見える!~食卓の向こう側にある日本と世界の食と農~」を農場本館で開催。講師の農業ジャーナリスト、榊田みどり氏が約100人の受講者を前に、「食べることは個人的行為と思いがちだが、日本や世界の農業・経済・環境問題ともつながっている『社会的行為』でもある」と問題提起した。

講演で榊田氏は、加工用野菜の輸入シェアがここ20年で大幅に増えている現状や、若い世代ほど米や野菜・果物を買わず外食で済ます傾向、輸入に支えられている食肉の現状、大豆やトウモロコシなど穀物の国際相場高騰など、食料や農業をめぐる国内・海外の動きを多様な観点から紹介した。

その上で、榊田氏は「これだけ食料を輸入しているため日本の農地は荒れ、産業廃棄物投棄などの問題も起こっている。(日本の農産品を)食べることにより、日本の農業や風景、環境が守られるということも考えながら食生活を送ってほしい」と提言した。

リバティアカデミーは今年、市民を対象にした農業体験講座を黒川農場で開講しており、来年はプランターを使った野菜の栽培講座の開講を予定している。