Go Forward

国際日本学研究科開設記念シンポジウムを開催

 「バリアを越えるイマジネーション」

心療内科医の桑山氏による基調講演 The「地球のステージ」 第2部パネルディスカッション

2012年4月に開設した大学院国際日本学研究科の開設記念シンポジウム「バリアを越えるイマジネーション」が昨年12月15日、駿河台キャンパス・リバティホールで開催された。

第1部は、NPO法人「地球のステージ」代表理事で心療内科医の桑山紀彦氏による基調講演「The『地球のステージ』」であった。桑山氏は、ソマリア、東ティモールなどでの医療支援活動、そして自身も被災者となった東日本大震災以後の被災者の心のケアを行っており、その様子を自ら撮影した映像をスクリーンに投影し、自ら作詞作曲した歌を歌いながら見せるという大変ユニークな「公演」活動である「地球のステージ」を、全国の小中高校などで展開している。そうした「公演」をどのような考えのもとに組み立てているのか、実際に「公演」で用いている映像と音楽を流しながら、「主人公性」「物語性」そして「イマジネーション」をキーワードに具体的に語る「講演」となった。優しく、明るく、力強い氏の語りは、参加者を感動させるもので、本研究科の社会的な存在意義を示唆するものだった。

第2部は、宮本大人国際日本学研究科准教授の司会のもと、9歳で両足を離断し、自らの義足をモチーフにした作品で注目されている気鋭のアーティスト・片山真理氏、全盲の詩人で近年はテディベアの展覧会で空間プロデュースに取り組んでいる長棟まお氏、永平寺で精進料理を修めた禅僧で、臨床心理士としても活動している吉村昇洋氏によるパネルディスカッションであった。片山氏の「私をなぞっていくと、あなたに届くの」、長棟氏の「目で見るだけで気が済むのはなぜ?」、吉村氏の「禅とイマジネーション」と、それぞれのパネル講演は短時間ながらきわめて刺激的なもので、その後のディスカッションも充実した内容となった。普段とは異なる五感、身体感覚の働かせ方に意識を向け、いつの間にか自らが囚われている物の見方・感じ方から自由になっていく、まさにバリアを越えるイマジネーションを喚起されるような時間であった。
(国際日本学研究科)