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国際総合研究所シンポジウム2013

世界をリードする研究者らが東アジアの安全保障などをテーマに討論

東アジアの安全保障やアジアにおける日本の役割をテーマに、白熱した議論を展開

明治大学国際総合研究所は2月25日、駿河台キャンパスリバティホールでシンポジウムを開催した。第一部「新体制下の東アジアと安全保障秩序」、第二部「アジアの平和的発展と日本の役割」の二部構成で、世界をリードする国内外の研究者や有識者が基調講演とディスカッションを行った。同研究所主催のシンポは、昨年の研究所開設記念シンポに続いて2回目。

開会に先立ちあいさつに立った林良造所長は、同研究所の研究テーマやこれまでの取り組み、シンポの開催趣旨などを説明し、「今日の議論が、日本の針路にとって意義あるものとなれば」と期待を寄せた。

イアン・ブレマー氏(ユーラシア・グループ社長) 北岡伸一氏(国際大学学長) スリン・ピッスワン氏(前ASEAN事務総長) 川口順子氏(参議院議員・元外務大臣)

第一部は、ユーラシア・グループ社長のイアン・ブレマー氏が「アジアを巡る新秩序(新たなリスクと対応)」をテーマに基調講演。緊迫する米中関係について「リーダー同士で信頼関係を醸成しないと、新たな冷戦に突入するかもしれない」との懸念を示した。また日米関係にも言及し、「日本はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加し、日米間でもっと戦略的に経済政策を協議すべきだ」と持論を展開した。

さらに、国際大学長の北岡伸一氏が「東アジアの安全保障」をテーマに講演。日本の課題として「安全保障能力の強化」と「日米関係の強化」を挙げた上で、「(官僚組織の)縦割りを超えて、集団的自衛権や専守防衛の見直し、憲法9条改正などについて議論が必要だ」と提言した。

続いてのディスカッションは、ブレマー氏に加えて東京大学の高原明生教授、明治大学の山内昌之特任教授、伊藤剛政治経済学部教授がコメンテーターとして参加。中国の台頭や尖閣問題などについて議論した。

休憩を挟んでの第二部は、前ASEAN(東南アジア諸国連合)事務総長のスリン・ピッスワン氏が「アジアの持続的発展に向けて」をテーマに、また参議院議員(元外務大臣)で明治大学客員教授の川口順子氏が「日本の役割と戦略」をテーマに、それぞれ基調講演。ピッスワン氏はASEANへのこれまでの日本の支援に感謝を述べた上で、「今後も日本とASEANとの協力関係がアジアの発展には重要だ」と強調、川口氏は「日本がアジアでリーダーシップを発揮するためには、あらゆる国が抱える問題の解決策を日本が示すこと。そのためには、国内でさらなる改革が必要だ」と述べた。

その後のディスカッションでは両氏に加え、コロンビア大学のジェラルド・カーティス教授、日本政策投資銀行取締役常務執行役員の竹内洋氏、東アジア・ASEAN経済研究センター事務総長の西村英俊氏(明治大学国際総合研究所フェロー)がコメンテーターとして登壇。「技術力や礼儀正しさなど、日本の持つ“ソフトパワー”がアジア発展に大きな役割を果たす」といった意見が出た。

会場には、関係者ら約250人が来場。講演やディスカッションに耳を傾けながら熱心にメモを取ったり、コメンテーターに質問したりする姿が見られた。