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遺伝子改変ブタの増殖でドイツのミュンヘン大学と技術交流

LAFUGAの研究員や学生にブタの体外受精技術を指導する本田香澄さん(長嶋研M2)

明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート(MUIIBR)所長の長嶋比呂志・農学部教授と、農学部生命科学科発生工学研究室のポスドク研究員および学生ら4人は1月23~25日の3日間、ミュンヘン大学の通称で知られるドイツのルートヴィッヒ・マクシミリアン大学の分子動物育種・バイオテクノロジー研究所の機能遺伝子解析研究室(LAFUGA)のエクハルト・ウォルフ教授の研究室を訪ね、遺伝子改変ブタを効率よく増殖させるための技術交流を行った。

これは、本年1月に国際胚移植学会がドイツで開催されたのを機に実現したもの。これまでにも明治大学MUIIBRとLAFUGAは、難治性疾患モデルブタの作出に関する共同研究を行っており、多くの共同執筆論文を発表している。MUIIBRからはクローンブタの作成技術を移転し、それをLAFUGAの遺伝子構築技術と組み合わせて、Ⅰ型糖尿病や嚢胞性線維症などの疾患モデルブタはじめ、独創的で有用な遺伝子改変ブタを数多く作出してきた。
作製した遺伝子改変ブタを実際に研究に役立てるためには、それらを効率よく増殖させることが必要になるが、そのために体外受精と受精卵凍結の技術が非常に有効であることから、今回の訪問でその技術交流が行われた。

MUIIBRでは、体外受精によって生産したブタ受精卵のガラス化保存に世界で初めて成功した実績(2012年発表)を持つので、それらのノウハウをLAFUGAの研究員や学生に伝え、今後の研究展開についての様々なディスカッションを行った。

将来的にはMUIIBRとLAFUGAが作製した難治性疾患モデルブタの細胞を相互に交換し、それを用いてそれぞれの研究拠点、本学では黒川農場でクローンブタを作製して、難病の克服に向けた研究が展開されていく計画だ。

MUIIBRは本年11月にウォルフ教授はじめ世界の著名な研究者を本学に招き、難治性疾患モデルブタ研究やブタを利用した臓器再生研究に関する国際ワークショップを開催することを予定している。(長嶋比呂志・MUIIBR所長)