Go Forward

認証評価を大学改革に活用しよう

文学部長 林 義勝

明治大学は2006年に大学基準協会に『自己点検・評価報告書』を提出し、2007年度認証評価において大学基準に適合しているという認証を受けた。これは文部科学省が指定した外部機関(3機関あるうちどれを選択するかは大学が決定する)から、7年ごとに認証評価を受けることにしたからである。そして、2013年度は2度目の認証評価(2014年度認証評価)の準備をする時期になり、現在各学部、部署等で自己点検・評価報告書の作成に追われている。

自己点検・評価というシステムは、第2次大戦後まもなくアメリカ合衆国の制度を模範に作られたが、当初はそれほど社会的な評価は与えられていなかった。しかし、1990年代に入って、大学設置基準の見直しが行われ、大学の自主性を尊重する方針が採用されると同時に、大学の現状を改革していくために、自己点検・評価制度が導入され、自主的な努力が各大学に要請されることとなった。その後、これが法令により、認証評価を受けることが各大学に義務づけられることとなり、現在に至っている。いわば、文部科学省の省令や規定などにより大学を縛るよりも、各大学に一定の許容度を与え、同時に、現状や問題点を客観的に把握し、継続的に改善を行い、さらにそれを検証し、改善を進めるというシステムを各大学が確立し、より良い大学を目指すことが、この自己点検・評価の目標である。

前回の認証評価の際、明治大学としての課題として研究活動と国際交流のさらなる活性化が指摘された。この2点について、明治大学はその後、理事会の協力を得て、教学を中心とした全学的な取り組みが実を結び、着実に成果を上げてきている。研究面では文部科学省のGCOEを獲得し、国際化の推進ではグローバル30で国際化の拠点校の一つに採択された。さらに、各種GPも獲得し、科学研究費の採択率も上昇し、こうした研究活動を支援する研究知財や国際連携など学内組織も整備されてきている。このように、認証評価を受けた際に指摘される課題に法人・教学が一体となって誠実に向き合った結果が、最近の明治大学の大きな進化をもたらしたのである。その意味で、認証評価を受けるということは、単に社会に対して大学基準に適合していることを示すというだけの消極的な意味ではなく、大学の様々な改革に取り組んでいく姿勢を後押しするという非常に積極的な面があることを強調しておきたい。

このように積極的に認証評価を捉えると、自己点検・評価報告書を書く際には、表面的な言葉を並べるのではなく、冷静に現実を明らかにすることが大切であろう。多少体裁の悪い思いをするかもしれないが、現状をありのままさらけ出す姿勢が重要ではないだろうか。その結果として、大学基準協会から指摘されるであろう様々な課題を恐れるのではなく、そうした課題に誠実に取り組むことが明日の明治大学の発展につながるのだと考えたい。膨大な書類を準備することは大変な労力を要することであるが、この認証評価の機会を上手く活用することができれば、それ以上に大きなものが明治大学にもたらされるはずである。

(文学部教授)