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中野キャンパスオープン記念講演・シンポジウム「大学街の誕生—大学の役割、地域の期待—」を開催

田中区長(左から2番目)を交えたシンポジウムでは、学生の街づくりへの関わり方について具体的な意見交換が行われた 学生による街づくりの事例を紹介した横田教授

明治大学と帝京平成大学は5月25日、中野キャンパスオープン記念講演・シンポジウム「『大学街の誕生』—大学の役割、地域の期待—」を、帝京平成大学中野キャンパスで開催。地域の期待に応える大学の取り組みについて両大学が講演し、田中大輔中野区長を交えたシンポジウムで、中野の街と学生との関わり方について可能性を探った。

冒頭あいさつに立った田中区長は、「大学が切り開く中野の街の新しい可能性を実感し、その一歩目に参加してほしい」と、会場に集まった約300名の受講者に呼びかけた。続けて帝京平成大から冲永寛子学長が、明大から藤江昌嗣副学長(社会連携担当)があいさつし、藤江副学長は「来年度開設する早稲田大を含めた3大学が『中野に生きる』との意志を貫き、中野のために共に努力していきたい」と決意を述べた。

第一部は両大学による講演が行われ、明大から国際日本学部の横田雅弘教授が「学生参加のまちづくりと新しい教育の形」を、帝京平成大から中嶋勝彦教授が「『ようこそ中野へ』の声に応えて」をテーマに講演した。

横田教授は国立市で行われた学生参加による街づくりの事例を紹介し、中野での街づくりに必要な戦略として「街づくりの多様な目的を受け入れること」「人のネットワークの拡がりと出会いの場の演出」「学生が街に出て、街の一員として生成していく教育」「多様性に寛容な街づくり」の4点を挙げた。

続いて第二部では、第一部で講演を行った両教授に田中区長が加わり、シンポジウム「大学街の誕生-大学の役割、地域の期待-」が行われた。

田中区長は中野四季の都市(まち)地域に大学誘致を行うまでの経緯を紹介。江戸時代以降、区民が足を踏み入れる機会のなかった土地の用途に「緑に囲まれた防災公園」「オフィス」「大学」の3つの役割を求めたと明かし、大学誘致に期待した理由として「大学の持つ研究・教育・知的財産が地域の産業に刺激を与える」「消費者として活気のある学生区民の数が増える」「学生が中野で様々な活動を行うことによる影響力」の3点を挙げた。これを受けて両大学が中野の街で学ぶ意義をそれぞれ紹介。横田教授は「産・官・学・民が加わった街づくりは日本の新しいモデルとなる可能性があり、ここに向かって進んでいきたい」と抱負を語った。

この街づくりを推進してきた田中区長は、大学や企業の活動が始まった中野の街を「文化やアイデンティティーが幅広く豊かなものに変わろうとしている」と解説。「学生の『現場で学ぶ』気持ちを受け入れて、学生の行動から行政や地域が学ぶことで、もっと良い街にすることができる」と、学生の役割にも期待を込めた。

最後に、横田教授は学生の関わり方として「大きく転換していく中野の街の変化を記録し続ける」ことの重要性を述べ、中嶋教授は「学生が主体的に行動できるような教育が必要」と結び、盛況のうちにシンポジウムは閉幕した。