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母校への恩返し 齋藤 柳光(1967年文学部卒業)

未来サポーター募金というネーミングは最高です。わけても奨学金として協力させていただいている私のような者には、「バイトを少しでも減らして勉強を!」などと現役の学生諸君と以心伝心できるような気がします。お恥ずかしいくらいの寄付ということもあって、エンダウメントやギフトという呼称では大仰で気が引けてしまいます。細やかでも母校に恩返ししていく。この実感がたまりません。

私は細やかだからこそ心が通じるように思います。「50万人の校友が年間一人1000円寄付すれば5億円、10年で50億円」。そう言ってよく失笑を買っています。母校へ恩返しの思いは誰しも大なり小なりあると信じて疑わないからです。もちろん、理想は大であっても、多くは小が現実にならざるを得ないでしょう。だからといって、金額の多寡でサポーターとしての志に軽重などはありません。

学生時代にサークル活動で東南アジアの留学生を支援しました。自分の小遣いもままならない中での細やかなサポートでした。そして半世紀、今も互いに皺だらけの笑顔で交流を続けています。

苦学生は昔語りと思いがちですが、けっしてそうではありません。大学そのものも遠からず自立を求められます。細やかでも誰もがサポートすることで後輩や母校の未来が見えてきます。