本棚『古典にみる日本人の生と死』原道生・金山秋男・居駒永幸 共著(笠間書院、3,800円)



高齢化社会を迎えた今、我々は生と死にどのように対峙すべきなのか。

著者のひとり金山氏は、冒頭で3人の執筆趣旨に触れ、「人間の生老病死が、私たちの日常生活において、益々見えにくくなっていて」、加えて「いのちへの畏敬や共感同様に失われてしまっている」と指摘する。いまや日本の日々の生活では、親から子へ、子から孫へと習俗として継承されなくなったのが、大きな要因だと言えよう。

逞しく生き、見事な終焉を迎えた古来の日本人の死生観を分かり易く披瀝したのが、本書である。即ち、居駒氏は、記紀神話・万葉集から、奄美・沖縄の葬歌にまで言及、「生と死の古代」を解き明かす。原氏は、記紀神話の「生け贄としての身替り」、中・近世芸能から「神仏による身替り」、さらに近世の「弱者の果たす身替り」の三つに触れ、逆説的な「生」の意義付けを試みる。金山氏は、「生死解脱の諸相」の論題に見る如く、仏教者・芸能者・文人の死生観を解明する。一人ひとり避けて通れぬ問題を扱った好著である。

林雅彦・法学部教授(著者は順に名誉教授、法学部教授、経営学部教授

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